大分県の今年度の最低賃金引上げ額が決定しました。隣県熊本県の82円引上げに次ぐ81円の引上げで、来年1月1日から最低賃金は1035円となります。今年はC区分の各県で中央最低審議会が提示した目安の63円を上回る引上げを行っています。また裏技で大分県の様に適用年月を数か月ずらす県も多いです。
全国平均では今年度の1055円から66円UPの1121円となりました。政府は2029年度中に全国平均で1500円を目指しています。とすると差額は379円です。これを残り4年間で除すると一年当り95円弱の引上げが必要となります(379円÷4年)。これを前提にすると今年の引上げ額以上に、来年度以降4年間は大幅な引上げが続いていくと予想されます。
厚労省では来春に年収106万円の壁を取り払うことを決定しました。「月間8.8万円(年収で106万円)」「週の労働時間が20時間以上」「従業員51人以上」の3条件が揃うとパートタイマーであっても社会保険料の被保険者となります。従業員が負担する社会保険料は給料に対して概ね14%です。賃金が上がっても年収106万円を意識して勤務時間を減らす人も多く発生する可能性が高いのです。
労働力の確保は事業活動を行う上で必須です。パートさんが勤務時間を短縮すると労働力量が不足になります。企業活動が停滞すれば国富にも大きく影響します。そこで厚労省は106万円の壁を取り払うことにしたのです。それにしてもこのような事態になることは数年前から予想されていたことです。対応が遅すぎたとしか言えません。
なお先の3条件の「従業員数51人以上」は2035年(令和17年)10月には完全撤廃され、全ての企業で社会保険の加入が義務化されます。先手必勝と言います。じわじわと寄せてくる最低賃金引上げの大波を上手に回避する方法を考案し実施していくことが求められます。1つの策として人時生産性を上げる為の設備投資を行うことです。「善は急げ」と言います。今すぐに対策に動きましょう。