トランプ米大統領が3月に突如として打ち出した高率関税戦略、世界各国で大混乱を巻き起こしました。日本には25%の関税が課せられることになり、日本経済の生命線である自動車産業が大きな打撃を受けることが予想されました。日本政府の必死な交渉に日本国民が注目していました。
7月23日(水)に日米で合意が得られたと発表されました。ナルシストのトランプ大統領を納得させたというのですから、大手柄であることには違いありません。ひょっとするとこの合意が参議員通常選挙前であったら、20日(日)の投票に少なからず影響があったかも知れません。
合意した関税率は15%です。8月1日から適用される25%より10%低くなりました。この10%の差は大きい!です。私は日本政府と交渉当事者の赤沢大臣を褒めてあげたいです。
なお法的拘束力のある最終合意書の締結はこれからです。また23日の署名文書には「再び関税をあげない」という条項が入っていないらしいです。交渉上手(?)なトランプ大統領、日本側の対応がゆっくりだと高率関税を課すという伝家の宝刀を再び振り上げる可能性も残されています。
厳しい交渉は最終的に合意されまで気を許すことはできません。日本政府が時間を置く事なく即座に対応するということが、我田引水の効果を引き寄せると思ってほしいうものです。
気がかりなのは、日本が米国投資に80兆円の投資を約束したことです。投資自体は民間企業が行うのですが、政府の政策金融により80兆円の資金枠を設けるというのです。トランプ大統領は高率関税を課すことにより、米国内への外国からの投資を増加させようという狙いもあります。その狙いを日本政府は上手に活用したということでしょうか。
私は日本経済を活発化させるには国内市場に強い刺激を与えないといけないと考えています。市場の大きな主導役は個人消費です。個人消費はGDPの60%を占めます。企業の設備投資も13%程度あります。大企業を中心に企業は国内投資を積極的に行ってほしいのです。
国内に投資すべき資金が米国に向けられるとすれば、個々の企業は繁栄すれども日本経済は停滞するというジレンマを抱えることになります。この方程式をどのように解いていくのか、注目です。政府や霞が関、そして経済界のリーダー達はどのように考えて実行していくのか、関心を持って監視していかないといけません。