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レアアース超大国中国の余裕

 6月17日付の日本経済新聞に興味深い記事が掲載されていました。見出しは【環境汚染のみ込んだ中国】【低価格で輸出、生産ほぼ独占】とあり、レアアース超大国中国の動静をレポートしています。【レアアースと覇権】の連載記事で、私が読んだのは連載スタートの①ででした。今後の記事に注目です。

 レアアースは希少金属(レアメタル)の1種で17種類あります。高校時代の化学の授業で習った周期表の後半に載っているようです。主にハイテク製品に需要が多い磁石のパワーアップに希少金属は大きな貢献をしています。人は微量でもビタミンがないと生きていけません。これをもじって希少金属を産業のビタミンとも呼ぶそうです。

 この希少金属はほぼ中国が独占しています。希少金属は軽希土類と重希土類とに分類できるそうです。軽希土類は米国でも生産(採掘)できますが、精錬は中国で行っているようです。中国の精錬割合は全世界の9割にのぼっています。精錬過程では酸性液を利用したり放射性廃棄物が生じるようです。米国等先進国では自然環境保護の声が大きい為に、採掘や精錬を大々的にできないのです。

 希土類の採掘と精錬を中国が握っている事実は本当に強い。トランプ大統領が高率の関税を中国に課したとしても、「レアアースを米国に売らないよ」と習近平が一言言えば、トランプ大統領は大きく振り上げた拳も降ろさないといけなくなります。関税に係る米中交渉、中国が強気に出ていることには理由があるのです。

 会社経営では希少性は競争力の根源です。他者が物真似できない圧倒的な強みが市場で断トツ№1の地位を獲得し維持できるのです。正に中国はこれを地で行っています。それにしても何故、神様は中国に希少金属の圧倒的な埋蔵を行ったのでしょうか。少し恨み節を天に向かってはいている私です。