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令和の米騒動の背景を探る

 令和の米騒動が収まりません。TVや新聞では毎日のように、店頭価格について井戸端会議的に話題にしています。少し聞き飽きた感じがしないでもありません。その中で中小企業診断士として「この人の発言はおかしいのではないか」と感じたものがあります。今回はこれに関しての投稿です。

 

 それはある県のJAのトップにある人の発言です。「店頭価格は安くない方が好ましい。生産に係るコストや農業者が安心してお米を生産して行くには3000円台(の後半?)が良い」という趣旨の発言です。いわば「安く売らないでくれ」と言いたいのでしょう。この発言の念頭には小泉農水相が行なっている随意契約による5kg2000円への反発がありそうです。ただこの施策は古古古米(古の3乗米)に関して行っています。新米や古米ではありません。

 

 私は「この人は流通というものを知らないな~」と思いました。小泉農水相の緊急避難的な米供給施策の是非は別として、今回の米騒動で問われているのはコメの流通の再編成ではないかと思います。現在は農家から各県のJAが一括してお米を買い上げ、JAが一次や二次の卸会社へ販売します。卸会社は精米をして小売店へ販売します。そして最終消費者の食卓へ上るのです。精米は美味しさを保つ為に玄米で流通する最後の段階で行う必要があります。TV等で知るところによれば、この農家(川上)から消費者(川下)へ流れる物流がボトルネックではないかと感じました。この複雑な流通過程が店頭価格を押し上げている気がしてなりません。

 

 今はイオンに吸収されましたが、GMSの勃興期にダイエーの中内功は“価格破壊”をぶち上げました。価格決定権をメーカーから小売店へと移行させ、商品価格の引下げを徹底して行いました。この施策が消費者の圧倒的支持を受けてダイエーやイオン、ヨーカ堂などのGMSが急成長したのです。

 

 コメ流通の主導権はどこが握っているのでしょうか。私はJAだと思います。また農水省や国会議員の農水族が裏方としてJAを支えているのです。昭和の流通革命に例えればJAはメーカーに該当します。令和の米騒動が落ち着いた頃には、卸の中抜きという真のコメ流通革命が起きるかもしれません。

 こうして考えるとコメ流通の新しい在り方が、今回の令和のコメ騒動で問われていると思うのです。歴史を振り返ると大変化・改革は若者・よそ者・馬鹿者の3つの者が行なっています。若者は別にしてもよそ者・馬鹿者が私達の面前に現れないものでしょうか。大いに期待したいものです。