中央政治の世界では減税だの現金給付だの、国民の生活支援に係る施策への声が徐々に高まってきています。議論の元をたどればトランプ大統領がぶち上げている相互関税政策に行きつきます。この関税政策によって日本は一律24%の関税を課されることになりました。なお施行までの猶予が90日間と公表されました。
日本の基幹産業である自動車に係る関税は25%です。他の農水産品を含む全輸出品に係る関税は24%ですから、米国への輸出に力を入れてきたホタテ、果物、日本酒等々あらゆる産品の米国向け輸出に急ブレーキがかかることが予想されます。
またお米価格の急上昇など物価上昇が基調となる中、実質賃金の伸び率がマイナスに転じています。生活苦に陥っている人達が声をあげています。この生活者の悲痛な声とトランプ大統領の関税政策により、日本のGDPの成長率が押下げられると予想されます。経済界から景気下降防止策としてカンフル剤の注入を求められている中で、減税又は現金給付等の支援策が浮上してきたようです。
はっきりと主張します。私は減税には反対です。所得税・住民税等の直接税の減税効果は限定的です。非課税世帯が相当程度あるからです。直接税がダメなら次は間接税の出番です。間接税の目玉は消費税です。財務省の公開資料では令和7年度の消費税税収は24兆9千億円で他の主要税収である所得税(22兆7千億円)、法人税(19兆2千億円)より高くなっています。消費税は政府税収(歳入)の4番バッター(ストライカー)なのです。
確かに消費税を減税すればその恩恵は全国民に行き渡るでしょう。食料品の税率8%を5%にするだけでも消費喚起への大きなエンジンになることに間違いないでしょう。しかし日本人の気質として一旦下げた税率を引き上げることに強いアレルギーを発揮するのです。2~3年限定で税率を引き下げた後、元の税率に戻そうとすると野党を始め反対の大合唱になること目に見えています。
このような経験値がある為に減税(イコール消費税減税)に反対するのです。国内での消費を喚起するにはてっとり早い方法で現金給付がグッドです。貯金に回るという意見もあります。しかしどんな政策を出したとしても全額が消費に回ることはありません。ゼロか100かという選択肢はありません。議論を長々するよりは直ぐに着手する、この方法が国民の消費心理を上向けさせること間違いありません。