日本経済新聞の12月17日付け朝刊に少し興味がそそられる記事が掲載されていました。【温暖化で暑くて働けない】【働き方の見直し迫る】【労働機会損失 全世界で「5000億時間」】。こんな見出しが私の目に飛び込んできました。
「5000億時間」とは膨大な時間数ですが、国数200、人口80億4500万人の全世界を対象とした数字なので、「まあこんな時間数となるんだろうな」という感覚です。このような数字を引き出したのは国際医学誌ランセットなどのグループだそうです。研究グループは日本についての数字も上げています。
日本では業種別で最も影響が大きいのは7.8億時間を損した建設業。なんとなく「分かる」です。次にサービス業。これは「うん?」ですが、説明を読んで納得です。代表的な飲食業では厨房が灼熱地獄のようになっているからです。製造業は3番目で農業は最も労働時間の喪失は少なかったといいます。農業の喪失時間が少ないのは、農業に従事している人数が他産業より圧倒的に少ないからでしょう。一人当りにすると建設業と同じ位になるのかもしれませんね。
先進国ではGDPの最大1%の経済損失が発生していると報告書は報告しています。GDP比1%は多いと考えますか、それとも少ないと思いますか。超低成長の日本てば多いと考えるべきでしょう。
暑い時間帯は仕事ができません。暑い時間帯を除いて仕事をするにしても屋外作業だと夕暮れまでの時間が早くなり、実質的に仕事をする時間が少なくなります。無理をして酷暑の中で仕事をしても労働意欲は低く生産性は上がりません。
こうして考えると酷暑、地球沸騰化は生活環境の悪化もさることながら、所得を得るという働く場も奪っていくこともあると分かってくるのです。