昨日、最高裁で大きな判決がありました。旧優生保護法のもとで障害などを理由に不妊手術を強制された人たちが国を訴えた裁判の判決で、最高裁判所大法廷が旧優生保護法は憲法違反だとする初めての判断を示しました。大法廷ですから裁判官15名が参加していますが全員一致だったそうです。3名の裁判官が補足意見を付しています。
新聞記事等をみて感じたことがあります。1つは旧優生保護法の成立は全会一致だったということ。これは驚くべき事実です。現在も存在する日本共産党や日本社会党の後継である社民党(や立憲民主党)の先生方(?)は厳しく自己批判をしないといけないでしょう。旧優生保護法は1948年(昭和23年)に成立しました。日本国憲法は1947年(昭和22年)5月3日に施行されています。日本国憲法の基本理念に基づき各法令は制定されないといけません。
にも拘わらず昨日の最高裁判決では「旧優生保護法の立法目的は当時の社会状況を考えても正当とはいえない。生殖能力の喪失という重大な犠牲を求めるもので個人の尊厳と人格の尊重の精神に著しく反し、憲法13条に違反する」と厳しく糾弾しました。最高裁の違憲判決はこれを含めて13例目だそうです。国権の最高機関である国会は烏合の衆の集まりだったことに驚きです。
全会一致による法律制定とともにもう一つの驚きは、政府が時効による損害賠償請求権の消滅を主張していたという事実です。時効の中断(現在では時効の完成猶予と表現が変わっています)がなければ不法行為による請求権も20年経過すると消滅すると政府は主張してきたのです。政府や国会(議員)が自らの非を認めず、また非を認めたとしても詭弁を弄して請求権を排除しようとする姿勢には驚きました。
時効とは別に除斥期間という考え方もあります。除斥期間とは請求権は時効中断等の法的制限がないとして考え、純粋に時間の経過と共に消滅するという考え方です。最高裁判決と個別意見ではこの除斥期間の適用も権利の乱用として許されないと糾弾しました。
旧優生保護法により避妊手術等を受けた被害者の方々の心労は如何ばかりだったか推測することはできません。「過ちて改むるに憚ること勿れ」といいます。政府は時間を置くことなく早々に被害者に寄り添った対応をしてほしいと思います。そして与野党を問わず旧法制定に係る自己批判をしていただきたいと思うのです。