国の税収が堅調です。2023年度(令和5年度)の一般会計税収が72.1兆円となりました。前年度は71兆1373億円で2年連続で70兆円を突破しました。円安等で好調な企業業績を背景に法人税や所得税が順調なようです。そこで財務省のHPを閲覧してみました。
国税の推移がグラフで表示されていました。昭和63年、平成2年、同5年、同9年、何故かず~と飛んで同23年そして令和6年の6年のデータをみて驚きました。このグラフでは個人所得課税、法人所得課税、消費課税、資産課税等の4区分で構成比が明示されていました。
最初に個人所得課税の推移です。34.4%、41.4%、41.5%、34.5%、29.8%、24.5%となっています。平成初期では41%あった比率が直近では25%を割っています。16%強ものダウンです。これから分ることは給与所得の伸びが長期にわたって緩慢であったということです。個々の企業では賃金抑制はグッドでしたが、国全体ではバッドであったことが一目瞭然です。
次は法人所得課税です。35.3%、29.3%、21.8%、24.2%、24.1%、28.3%と続きます。平成時代は低位水準が続いています。企業業績が停滞していましたが、直近では28.3%と30%ラインに近づいてきました。企業業績が円安という追い風(?)を受けて上昇していることが分かります。
最後は消費課税です。18.9%、22.0%、26.9%、32.8%、40.4%、41.4%。構成比が一度も落ちることなく一貫して上昇しています。消費課税は間接税です。大小の所得階層に関わらず、全ての市民に課税されます。逆累進性と揶揄される所以です。
国税が増えることは喜ばしいことですが、その内訳をみると間接税の比率が高まると共に給与所得等の個人所得の伸びが停滞していることが少々不安材料です。「国破れて山河在り」の例えでいえば、「市民・国民窮乏するも企業繁栄する」と言えるでしょうか。市場は消費財と生産財とに分かれます。今風でいえばB2CとB2Bと言えるでしょう。B2Bの先にはC(個人市場)が必ずあります。C(個人市場)の凋落が分かった財務省の公開資料でした。