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基本給の3割を手当として支給しても、4割の社員は転勤を受け入れないという調査結果

 今年4月1日から人を採用する際のルール、労働条件の明示の仕方が変わりました。労働条件の明示は労働法令で決まっており、雇用期間・就業場所・業務の内容、休日休暇・賃金等を文書で明示しなければなりません。4月からルール変更となった1つに入社後の「就業場所と業務の変更」についての明示義務付けがあります。

 若い人を中心に「きつい仕事はいや」「休日休暇は多く」「ブレッシャーは受けたくない」「でも賃金はそれなりに」等仕事観が大きく変わっています。その一方で「きつい仕事もOK」等々成長意欲の高い求職者も相当程度います。勿論「きつい仕事」と言っても法令違反を繰り返す企業、社員をモノ扱いにする企業、無理難題を強制する企業等々いわゆるブラック企業は成長意欲の高い社員からは即刻拒絶されて退職一直線です。
 6月7日付け日経Mjに面白い記事が載っていました。[基本給の3割以上の手当でも....「転勤受け入れない」4割]とあります。パーソナル総研が実施した総合職調査での回答内容を解説していました。このような意思を表示した社員は支給手当を4割~5割へ増額しても同じ結果でしよう。注目は「どんな条件でも転勤を受け入れる」社員も2割いたとも書いていることです。これに注目しない手はありません。

 会社の悩みどころの1つに賃金体系をどう組み立てるかがあります。組織体制や人事(評価)制度との関連性が強いのが賃金体系です。会社の事業や社員の活かし方を反映して賃金制度を構築します。先の調査を「会社は転勤を命じることもできないのか」と否定的にとるのではなく、転勤も可とする2割の社員を人事政策の中心において、転勤拒否社員や緩やかな労働時要件を望む社員の賃金を中核社員(例えば総合職)のX%とする仕組みを作っても良いと思います。

 「企業は人なり」です。しっかりと業績・成果を上げ、会社牽引する中核社員を中心に事業を展開するという選択肢も大いにありです。逆説的には中核社員を厚遇しない会社は早晩業績が長期低落傾向を示し始め、事業閉鎖へ追い込まれるだろうと思うのです。