· 

令和6年第一四半期の実質GDP、前期比で年率2.0%減を考える

 読者の皆さん方も新聞等で知っていると思いますが、今年1月から3月までの四半期GDPが年率で自実質2.0%の減少となりました。金額では実質ベースでは558兆円で、名目ベースでは5.3%増の597兆円と過去最高になりました。名目GDPが600兆円を超すのはまもなくでしょう。

 名目と実質の差異は物価上昇率によるものです。物価上昇が続くと名目は増えるものの、実質ベースでは下押し圧力がかかります。GDPは個人消費や企業投資、政府投資、外需(輸出)等に区分されます。GDPの5割強を占める個人消費は前期比で0.7%減とさえない状況が続いています。個人消費の元となる所得が増えないからです。賃金引上げが5%超を記録したとしてもそれを打ち消す円安の進行。これではもっと消費をという声かけも雲散霧消となってしまいます。

 企業投資も0.8%減とさえません。外需もそうです。新聞記事ではその大きな要因が自動車産業の不振を上げています。そう直近ではダイハツの検査偽装・不正行為により生産がストップしたからです。日本経済における自動車産業の乗数効果の大きさが見て取れます。

 日本経済新聞では主要企業の為替相場予想を1ドル144円としていると報じていました。144円でもかなりの円安と感じるのですが、現況の150円半ばは明らかにおかしいと感じてしまいます。米国のインフレが収まってきたという観測球も挙げられています。植田日銀は政策金利引き上げに動くべきです。

  利上げは経済を冷やすという負の側面が協調されますが、体たらくの日本経済にどんな処方箋があるのでしょうか。日米金利差が縮小すれば今春の賃金引上げの効果がでてきます。6月に実施される3万円の定額減税もプラス要因となることでしょう。今後の日本銀行の動きに注目です。