日本銀行が3月19日にマイナス金利政策の解除を決めました。金利引き上げは17年ぶりだとか...。YCCなど市場金利を一定の枠内に誘導する施策をなくしました。それでも急激な金利上昇を警戒してか、市場関係者に「緩和的環境を続ける」とメッセージを発しています。それでもようやく日本にも金利ありの世界に復帰した感を強く感じます。
にも拘わらず為替相場では円安傾向が強まり、最近では151円台で推移しています。マイナス金利政策を放棄し米国ドルとの金利差が縮小したはずなのになぜ?と疑問が湧いてきました。ポイントは市場関係者の間では、日銀の政策転換は既に織り込み済みだったということでしょうか。
投資資金は儲かる市場を求めて国境とは無関係に瞬時に移動します。ちょっとした利ザヤ稼ぎでもファンド運用資産が膨大なため、絶対額での利益は多額に上ります。ディラーと呼ばれる人たちが虎視眈々と利益が取れる市場をリサーチしているのでしょう。AIにインプットされたアルゴリズムが政府や市場関係者の思惑とは別次元の独自判断で投資や移動、回収等を決めているとも言われています。
日本円が安くなることの恩恵は輸出企業だけです。円安は輸入物価が上昇するので一般消費者にとって不利益に働きます。輸出企業は海外で儲かったお金を国内に還流させて投資を行うのではありません。儲かった海外市場に再投資しているのです。再投資をする際に円を売る行為も発生します。輸出企業が儲かるほど円安に拍車がかかるという理不尽(?)な現象を発生させています。
いつから円高へ反転するのでしょうか。新聞等の記事を読むと米国FRBが鍵を握っているようです。景気刺激策では中央銀行の金利引き上げが重要な政策手段の1つです。金利引き上げは既に打ち止めとなっています。コロナ時の急激なインフレが収まってきたことから、米国内での景気をよくするために金利の引下げが検討されていると言います。
今年11月には大統領選があります。民主・共和両党の候補者がほぼ決まりました。誰が大統領選の勝者となっても大統領選中は景気浮揚策を有権者に問うことになるでしょう。中央銀行の独立性を保ちつつりFRBがどのような決定を下していくのかが注目です。
いずれにしても我が国の通貨である円の国際競争力が自国の経済力で決定されるのではなく、米国の金融当局に左右されるのは少し嘆かわしい事実だと思わざるを得ません。みなさんはどう思われますか?