自動車メーカー大手の日産自動車が、公正取引委員会から下請け法に違反する行為があったとして再発防止などを求める勧告を受けました。また自動車メーカーかとため息がつきます。高品質の代名詞であった日本製品の信頼が揺らいでいます。直近ではダイハツの不正が公表されました。
今回の日産の対応は品質偽装・不正等とは異なりますが、下請けの部品メーカー30社余りに対して一方的に代金を引き下げていたという企業倫理が問われる問題です。発注者側と受注者側の資本金や取引内容によって下請け法が適用されるかが決まります。よって全ての事業者で適用されるのではないのですが、今回の事案は正に下請け法のストライクゾーンだったのでしょう。
公正取引委員会によると、日産自動車は令和5年4月までの少なくとも2年余りにわたって、タイヤホイールやエンジン部品などを製造する下請けのメーカー36社に対し、事前に取り決めた納入代金から一方的に数%を差し引いて支払っていたということです。
この一方的というのが大きな問題です。日産自動車にも法務部門があるでしょう。社内弁護士や社外の顧問弁護士もいるはずですから、会社(の社員)がやっている行為が法令違反に当たるという認識があったはずです。
もしかしたら事前に決めた代金を変更する為に、相手側と交渉をしたという偽装工作をしたのかもしれません。交渉のテーブルで相手が承諾したから良いのではないか、とう主張の根拠にする狙いがありそうです。これはあくまで憶測でしかありませんが…。
再交渉があっとしても削減%は日産が一方的に通知をしたでしょうし、そうでないとしても下請け側は今後の取引継続という側面から、日産の要求を丸のみするしかないと考えます。
いずれにしても日本の経済界をリードすべき大企業にはコンプライアンスを社内に浸透させてほしいものです。「一部の社員が行なったもの」というのは、経営トップの責任を現場社員に押し付けるものと言わざるをえません。経営者は正しい経営を行ってほしいものです。