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大分県下の後継者不在の割合、前年の65.6%から2.7%減少

 私は平成5年11月に行政書士で開業し、中小企業診断士や特定社会保険労務士などの士業資格も追加し、今年令和6年度で創業31年目になります。最近は体力、知力(?)、集中力が徐々に衰え始めました。20年超の長きに亘り支援・助言等を行っております顧問先に、迷惑を掛けない形での事業閉鎖も視野に入ってきました。

 とここまでは清成事務所の事業承継に係る話題でしたが、大分県下での事業承継の状況について確認してみましょう。大分合同新聞1月19日号に[後継者不在2.7ポイント減少][県内事業承継が改善]の表題で記事が掲載されていました。帝国データバンク大分支店のアンケート調査に基づいての記事です。

 2.7%減少とありますが、どの値から下がったのでしょうか?。その値は65.6%なのです。要はほぼ3人に2人の割合で後継者が決まっていないということです。65.6%という高い値から2.7%下がったとしても無意味なような感じもします。しかし事業承継を声高に言っている行政庁やM&A業者ら関係者は「事業承継が改善している」と主張したいと思うのです。「こんなに改善している。だから貴社も事業承継にもっと熱心に取り組みましょう」。関係者はこんな主張をしたいのではないでしょうか。

 少し嫌味ぽい感じの投稿をしてきましたが、少し目線を変えてこの数字を読み解きたいと思います。記事には「後継者がいない割合は4年連続で下がった」とありました。また「全ての年代で改善し、70歳代は34.7%で初めて4割を下回った」とありました。社長の最大の仕事は後継者をつくることです。今、素晴らしい業績を上げている会社であっても、後継者がいないとなれば、その会社はやがて日本社会から蒸発してしまいます。物足りないとしても後継者がいる!ことが、事業経営では重要なのです。

 自分の会社の将来を心配している経営者は、躊躇せずに社外の専門家やM&A業者、所轄行政庁、公的支援機関等に相談してみましょう。顧問税理士等の助言をそのまま鵜呑みせずに、セカンドオピニオンやサードオピニオンの助言等を聴くことが良いでしょう。経営とは継続的な繁栄であり、短縮形で継栄ということなのです。社長の椅子に安住しきることはやめましょう。後進にその椅子を快く譲ってあげることが、良い事業承継を成立させるポイントと言えそうです。