働き方改革という言葉が一般化したにも関わらず、アクションが労働時間の短縮一辺倒で生産性や収益性の向上そして労働の質のUPについては議論が進みません。どうしたかことでしょうか。それはさておき、働き方が多様化してフリーランスで仕事をする人も増えてきました。以前から指摘されていた問題点の1つに、フリーランスは実質的には労働者と同種の仕事をしながらも、労働災害に遭ったときは労災保険による保護がないということでした。
国・厚労省はこの問題の解決策として、フリーランスにも労災保険の特別加入制度を適用する動きを始めました。問題は「賃金とみなす金額をいくらにするか」と「労災保険料率をどうするか」の2点です。本稿では後者の適用する労災保険料率について一歩前進したことをメモってみます。
厚労省は適用料率を0.3%(3/1000)とすることを決定したようです。労災保険は労災事故が発生した時に被災者を保護・支援する為の制度ですから、労災事故の発生頻度や被害の強度等を勘案して、事業毎に労災保険料率が定められています。最小は0.25%で最大は8.8%です。フリーランスの料率を0.3%としたのは、労災事故の発生確率が低いと判断したのでしょう。私はこれに少し疑問を持ちました。
話題になる例としてアマゾン等から依頼を受けて自転車や二輪車、軽自動車等を利用して宅配する人達がいます。道路を使用して荷物を運搬するのですから、交通事故に遭う確率が高いと思います。配達中に転倒して骨折などの事故もありそうです。貨物取扱事業の労災保険料率は0.9%となっています。交通事故等の発生頻度等を勘案しての料率なのでしょう。
確かに屋内でPC一つで仕事をする事務系・情報系のフリーランスは0.3%で良さそうです。しかし貨物運送系も0.3%となれば、貨物運送事業を行っている会社や個人企業にとっては不公正ではないかと考えます。フリーランスの料率を一律0.3%とするには異論が出てきそうな予感がします。