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最近の円安どころか超円安を憂う

 円安が止まりません。対ドルで150円を連日超えています。2011年(平成23年)秋に75円を記録したこともあるというのに、最近は円安どころか超円安、日本売りが過激化しているという感じが否めません。私は年初に130円を予想していました。日経平均株価は3万円台回復を予想していましたので、日経株価だけをみれば「当り!」となるのですが、為替相場は大きな外れとなってしまいました。

 円安は輸入物価の高騰に繋がります。例えば1ドル100円で買えていたものが、150円支払わないと買えないとなるのですから、物価上昇は当然です。資源や食料を海外から輸入している日本。中国外、新興国との買入れ競争で負けているという話を聞きます。食料自給力がカロリーベースで40%弱の日本。欲しい食品・原料を買えない時代がひたひたと寄せてきます。

 円安になれば輸出が増えて経済が活発化するというのが定説です。しかしバブル崩壊後、日本の製造業は海外の安い賃金を求めて生産拠点を海外に移転しました。ということで円安イコール輸出増とはなっていません。確かに輸出型企業の代名詞である自動車産業では円安効果が反映して大幅な増収増益となっています。しかし一部の産業、企業で増益となったとしても日本全体としてはほんの少ししか恩恵はありません。逆に消費者、生活者にとっては苦しい状況が更に苦しくなっているのです。

 円安になるのは大きく分けて2つあるようです。日本と米欧諸諸国との金利格差が1つめの原因です。2つ目は貿易収支、経常収支だそうです。経常収支は貿易収支に加えて、観光等のサービス収支や資本収支(利子・配当等)とが加算されたものです。日本の経常収支は何とか黒字になっています。理論上は資金流入が資金流出を上回っているのです。

 ポイントは海外で稼いだ企業が外貨を円に交換せずに、海外へ再投資しているということです。企業サイドでは問題ない意思決定だとしても日本全体でみるとマイナス要因に働きます。外貨を円に交換するという行為は円買いとなるため、円高に繋がっていくのです。海外再投資するということは、「円を買う」ことが発生しないため、円安基調を反転させることができないのです。

 色々と綴ってきましたが、円安はプラス面よりマイナス面の方が大きいと頭で理解できます。にも拘わらず政府(財務省)や日本銀行は何の手も打っていません。米国のFRBは利上げ中断しました。業界筋では来年から利下げに転ずる可能性もあるとか。「人のふんどしで相撲を取る」という姿勢に政府と日銀は終始しているように思います。無為無策の極みだとしか言えません。日本に強烈なリーダーシップをとるリーダーは表れないものでしょうか?!