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福島第一原発処理水放水にみる国家や国民の品格

 福島第一原発の処理水放水が8月24日に始まりました。今回の投稿にこれに関してです。とはいうものの、放水の是非を論じるものではありません。諸外国、特に中国(の国民)の反応に対する苦言です。

 日本国内でも処理水放水に対し強い反対論があります。それでも政府・東京電力は放水に踏み切りました。賛成論者は特段の発言はしないことは当然です。放水賛成論者でないものの、「やむなし」という態度にある人も、ある種の抵抗として無言を貫くと思います。「講義しても無駄だ」と考えているからです。

 最後に反対論者はどのような言動をするでしょうか。反対するにも二つありそうです。一つは消極的な反対です。「声を上げないと賛成したことになる」と考えるでしょうから、色々なツールを用いて反対の論陣を張るでしょう。この場合は文章はある程度までは過激になるかもしれませんが、実力行使までは至らないと思います。ここで実力行使という表現を使いました。この実力行使を行って、自分の反対の姿勢をみせようという攻撃的・積極的な人達がいます。

 中国や韓国(の左派系の人々)では、日本の公館の前で反対のシュプレヒコールを上げたりしています。レンガ片も投げ入れられました。困ったことに政府機関でもない日本人学校では卵が投げ込まれました。反日感情を高めての実力行使は良い結果を産みません。

 東北地方を中心に日本の旅館やホテル等にも嫌がらせの電話が鳴り続いているようです。TVで困り果てた従業員の姿が映し出されていました。放水を決定したのは政府であり、東京電力です。政府施設にものを投げ込んだり、またスパムメールを送りつける、公式HPを改ざんする等は何となく分かります。「わかります」と書きましたが賛成しているのではありませんので、勘違いしないでください。

 「坊主憎けりゃ袈裟まで憎い」といいます。日本政府や東京電力が憎い。だから日本国や日本人、企業等諸団体まで憎しみの対象となってしまう。そんな流れが中国や韓国の一部左派系の人々で広がっています。

 ちょっと昔、平成17年(2005年)に「国家の品格」というベストセラーがありました。著者は数学者の藤若正彦氏でした。今回の大騒動、中国や韓国(の左派系の人々)の品格を疑う行動ではありませんか。中国外務省の報道官が記者会見で、中国から日本への迷惑電話について出席者から繰り返し質問が出たものの、「状況を把握していない」と言及を避けました。中国各地至る所に監視カメラを設置し、諸外国にも孔子学院等をはじめ政府の出先機関ではないかと疑いたくなる施設を張り巡らしている中国政府。その政府の報道官が「状況を把握していない」と白を切る姿、笑止千万です。

 中国は冷静に対応できない国内事情があります。GDPの2割強を占める不動産市場を襲う大激震、20歳以降若者の25%ともいわれる失業率、経済成長の鈍化。米中経済紛争を抱えています。国民の不満を海外に、それも日本に向けて発露させないと共産党政権が転覆しかねないのです。

 国家も国民も冷静に対応すべきです。中国や韓国(の左派系の人々)が日本や日本企業、日本人に対して嫌がらせを繰り返したとしも、過激に反応するのは火に油を注ぐのと同じです。大人の対応を示しましょう。私達は日本人なのですから・・・。日本人の品格を示すのは今なのです!