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藤井七冠が王座戦挑戦者獲得まであと一勝に思う。大きなミスと小さいミスに対する対応力

 将棋界のスーパースター藤井聡太七冠が、残る1つのタイトル王座への挑戦権獲得を目指して、6月28日に将棋界のレジェンド羽生善治九段と対戦しました。両者の戦いは王座戦挑戦権を決めるトーナメントの準決勝でした。私はWEB上で藤井七冠の勝利を確認した後、戦いを中継していましたABEMAへチャネルを変更しました。

 中継画面では勝利者藤井七冠と敗者羽生九段との感想戦が繰り広げられていました。妻が「将棋は分かるの?」と私に訊きます。私は「分からいないけど、感想戦ってどんなことをしているのか興味があるんだ」と返答しました。その感想戦、将棋盤上で両者が忙しく駒をとったり動かしたりしています。その早いことってビックリです。感想戦は対戦した二人が「この時こうだったら??」というように、自分と相手の戦い方を確認した上で、自分の対戦能力の向上を目指すものだそうです。記憶を辿っていくのでしょうが、棋士の記憶力は本当にすごい。そのことを思い知らされるシーンが目に飛び込んできました。

 自分の判断ミスも包み隠さず発言して、相手に意見・助言をもらうことで実力を高めていくのです。対戦して終わり、さようならだと、自分の戦法や判断の功罪、巧拙を学ぶことはできません。将棋界の発展・隆盛はこの感想戦が正しく運用されているからこそあるのではないでしょうか。

 私は羽生九段が書かれた書籍を何冊か読んでいます。その中で羽生九段はこのように語っています。「勝てるか否かは、重大な判断ミスをしないこと。そしてミスの回数をいかに少なくするかということに尽きる」。人はミスをします。ミスをしないという決心はとても大事ですが、このようにして戦いに臨むと「あっ」というミスに動揺してしまいます。「このミスは仕方ない。次はミスをしないようにしよう」と気分転換しなければ、そのミスで動揺した心理状態をず~と引きずってしまいます。この方が怖いのです。

 小さいミスは仕方ないとしても、勝敗を大きく左右する重大なミスを犯すことは絶対に避けなくてはなりません。藤井七冠もある対戦で、ふ~と天井を仰いだシーンがありました。それは重大なミスをした!、と本人が認識したからです。「これは取り返しがつかない」と知らずに自分の脳裏に衝撃が走ったのでしょう。

 「勝てるか否かは、重大な判断ミスをしないこと。ミスの回数をいかに少なくするかということに尽きる」。この羽生九段は至言だといっても良いでしょう。私達はこの言葉の意味をよく理解して日々の仕事に精励していきたいものです。あっ、私生活も同じで~す。