昨日、老齢年金の裁定請求をしてきました。私の誕生日は昭和30年(1955年)12月3日です。承知のとおり、老齢年金は基礎年金と厚生年金共に満65歳から受給権が発生します。私は65歳到達時に裁定請求をせずに繰下げてきました。それも2年6カ月です。私がいつあの世に行くかは分かりません。そこで「そろそろ、受給してもよいかな」と裁定請求をしたのです。
私は特定社会保険労務士の資格を持っています。社会保険や労働保険に係る各種手続きの事務は副所長が詳しく、全てお任せのような状態です。私のメーン・フィールドは個別労働紛争等の人事・労務に係る問題解決のお手伝いといったところでしょうか。
どんな事案、事件であってもそれなりの知識と経験値があるとベターな対応が取れます。老齢年金の繰下げについても知識は勿論持っています。例えば1か月繰下げるにつき0.7%、支給額が増えるのです。繰下げができる年齢も今年4月からは75歳になりました(従前は70歳)。なお繰上げ支給という制度もあります。最大60歳まで繰下げて支給申請ができます。但し繰下げ支給申請すると1か月につき0.4%の割合で支給額が減額されてしまいます。
私の場合は2年6か月繰下げたので、理論上は21%(30月×0.7%)の支給額加算がなされます。年金事務所の窓口で説明された資料を基に昨夜計算したところ、加算率は22%強となっていました。これは年金支給額を現役世代の50%に抑制しようというマクロ経済スライドから、毎年年金額が増減することに起因しているようです。いずれにしても理論値の21%より多いのですから私としてはOK!です。今回の私の経験をいずれコンサルティングの機会にお披露目しようと思います。
ネット上で繰下げ支給した人の割合を検索してみました。2020年(令和2年)のデータですが、基礎年金で1.8%、厚生年金で1.0%でした。逆に繰上げ支給を選択した人は、基礎年金で26.1%、厚生年金で0.5%となっています。この数値から逆算すると、65歳で受給申請した人は基礎年金で72.1%、厚生年金で98.5%となっています。データの出所は厚生労働省の【厚生年金保険・国民年金事業年報(令和2年度)]ですから、数値の根拠は確かです。
このデータをどのように読み取ればよいのでしょうか。基礎年金の繰上げ支給率が繰下げ支給率よりも24.3%も多いという事実にびっくりです。家計が苦しいという裏事情がありそうです。厚生年金にしても繰下げ支給を選択しているのは僅か1.0%ということは、「繰下げをして年金額を増額するよりは、早く受給を初めて退職後の収入減に備えよう」という意識が多勢を占めているということなのかもしれません。
私は年金事務所の担当者に話しかけました。「厚生年金の繰下げを選択している人が1%位らしいですね」と。窓口担当者は「知りません」の一言。繰下げ支給を選択している人が、あまり窓口に来られないので関心がなかったのでしよう。私の年金額は増額となったものの、会社勤めよりも個人で士業経営をしてきた年数が多いので、厚生年金と基礎年金の合計額は平均的な数字より低いようです。それでも「死ぬまで貰えるのは有難い」と心の中でつぶやく自分がそこにおりました。