欧州の英国が今日(3月31日)TPPに加盟することになりました。TPPは発足直前にトランプ前米国大統領が不参加を表明したために、現在は日本を含む11か国で運営されています。TPPとは環太平洋経済連携協定のことです。”太平洋”とついているのに何故、英国が参加を要請し、現11か国が加盟を承認したのでしょうか。その理由を探ってみましょう。
世界のGDPを100%とすると現11か国の比率は12%だそうです。英国が加盟すると15%へアップします。人口比では5%強なので、12か国の経済力は相当程度高いと考えられます。自由貿易協定(FTA)は二国間や多国間で、自由貿易の原則を踏まえた上で関税等を可能な限り撤廃することにより、経済活動等を活発化させようというものです。この関税等撤廃をTPPでは99%の品目で段階的に撤廃することになっています。工業製品ではその割合は99.9%です!
中国はTPP加盟国ではありませんが、台湾が加盟申請したことを受けて数か月後に加盟申請しました。中国も参加しているRCEPの関税撤廃品目率は91.5%とTPPの99%より相当低い割合です。各国が農産水産物を中心に関税を撤廃したがらない品目が多いのです。撤廃率91.5%だと本当に自由貿易協定だと言えるのか疑問に感じます。
関税の100%撤廃の実現は国内と国外の格差がなくなることですから、純粋の企業間競争となります。各国の国内法制度等の整備内容により、自国産業の盛衰が明確になってくることでしょう。各国政府の能力・力量が問われます。TPP12か国は、自国産業の衰退懸念よりも経済活動や人流を活発させることが、していは自国の安定成長に大きく寄与すると考えているのです。
中国の他、TPPに加盟申請している各国は、本当に関税撤廃率を99%と極めて高い水準まで引き上げることができるのでしょうか。加盟が認められるのは現加盟国全員の承認が必要とされています。仮に中国が加盟したとなると、この全員賛成のルールを逆手に取って我田引水的に中国の言い分を採用するように圧力をかけるのではないかと危惧されます。
何れにしても英国のTPP加盟は日本にとって好都合であることは確かです。日本経済の復活と大躍進の契機になればと思っているのは私だけでしょうか。