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WBCでの栗山監督の采配を学ぼう!

 野球の世界大会、WBCが終わりました。日本が前回優勝国である米国を3対2で破って優勝しました。3大会ぶり3回目の優勝を飾りました。MVPは投打で大活躍した大谷翔平選手。最後の最後の場面で、MBLエンジェルスの同僚トラウト選手をスライダーで三振したシーン。「神様はこんな劇的なドラマを見せてくれるのか」と驚きました。

 日本の全選手の能力が高かったのは勿論ですが、今回の優勝の大立役者は監督の栗山英樹氏だと私は思います。東京ドームでの5か国によるリーグ戦や決勝トーナメントの初戦イタリア戦は、余程の大ミスをしない限り勝てるだろうと思っていました。よってここまでは選手個々の能力の高さが勝敗を分かる分水嶺でした。

 一方米国マイアミでの準決勝と決勝では日本は地の利を得ることはできません。敵地での戦いでした。選手が力まず本来の力を発揮したのも確かですが、それを可能としたのは栗山監督の采配だと思います。特に準決勝9回裏の攻撃で、ノーアウト1・2塁のとき、1塁走者を俊足の周東選手に替えたのは大正解でした。打撃不振の村上選手を「ムネを信じている」とバントではなく、積極的に打つことを暗に指示しました。この監督の信託を受けて村上選手は豪打を振るったのです。

 そして1塁走者の周東選手が本塁を駆け抜けました。もし走者が四球を選んだ吉田選手だったら、3塁に留まったかもしれません。周東選手だったから3塁を蹴って本塁まで突き抜けたのでしょう。これは栗山監督の名采配だったと思うのは私だけでしょうか。これで決勝への勢いが付きました。

 決勝では村上選手と岡本選手がホームランを放ちました。彼らはイタリア戦、いやメキシコ戦まで不振だったのです。それでも陰に陽に栗山監督は2人のみならず、全選手を鼓舞激励し静かに支えてきたのです。この監督の心情を汲み取らない選手はいなかったでしょう。それが決勝でのホームランを生んだと言えるのです。

 会社経営も社長一人ではできません。有能な社員が多数いたとしてもチームワークがバラバラだと、個々の能力の総和より低い結果しか生み出せません。今回の栗山監督の采配から、経営者は人を使うことの極意を学び取って欲しいものです。