岸田首相が少子化対策のため育児休業制度を改革する方針を表明しました。出産後の一定期間、男女ともに育児休業を取得した場合に休業前と同程度の手取り額を確保できるよう、育児休業給付水準を引き上げる方針とのことです。この方針自体に異論はないのですが、給付水準が上がることだけをもって育児休業を取得する人が増えるとは思えません。まず、女性が妊娠・出産を機に退職した理由では「仕事を続けたかったが、仕事と育児の両立の難しさ」が一番多い理由です。両立が難しかった具体的理由では「勤務先に育児との両立を支援する雰囲気ではなかった」が2番目に多い理由となっています。次に、男性の育児休業制度を利用しなかった理由は「収入を減らしたくない」が1番の理由ですが、次に多い理由は「職場が育休制度を取得しづらい雰囲気、会社や上司、職場の育休取得への理解がない」「会社で育児休業制度が整備されていない」となっています。これらのことを考えると、男女ともに育休を取得しづらい環境に問題がありそうです。
今年4月から従業員1000人超の企業は男性の育児休業等の取得状況を年1回公表することが義務付けられます。これによって一定規模以上の事業所では育児休業取得が促進されるのではないかと思います。その他の企業も、まずは有給休暇の取得のし易い環境づくり(業務のマニュアル作成、情報共有の徹底をし業務の属人化を防ぐ…等)をすることにより、育児休業等の長期休業による欠員もカバーできる体制ができるのではないでしょうか。制度改革も必要ですが、企業の意識改革も必要となっていると感じています。