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トヨタ、14年ぶりの社長交代!

 日本を代表する企業であるトヨタ自動車の社長が交代するとの報道がありました。創業者出身の豊田章男氏から14歳若返り、53歳の執行役員を務めている佐藤恒治氏へ交代です。交代時期は4月1日だとのこと。豊田氏は代表権のある会長に就任するようです。この社長交代劇をどのように診るべきでしょうか。

 「新しい酒は新しい革袋に盛れ」の格言が思い出されます。豊田氏が社長に就任したのは、リーマンショックでトヨタの販売台数が減少し窮境に陥っていた2009年(平成21)6月でした。その時の世界販売台数は781万台でした。豊田氏は創業家出身であり思い切った世界戦略を打ち出して、2019年(平成31年)には1074万台へと販売台数を急伸させました。省エネ車のはしりであるハイブリッド車を発売し、販売台数を一挙に伸ばしたのです。

 その一方で豊田氏はEV車が急伸し、新興企業も続々と市場参入する中で、全ての車種への全力投入をうたってきました。ガソリン、HV、EV、PHV、FCV(燃料電池車)など全ての動力源に真剣!に取り組むのは良いのですが、経営資源が分散するリスクがあります。今や主流化しつつあるEVへの投資が少なくなりそうです。現在は世界の強者であっても、数年先には落後者となる可能性もあります。

 ということで「新しい酒は新しい革袋に盛れ」で、新しい時代に対応できる人財にトヨタの経営をバトンタッチしたのではないでしょうか。新社長となる佐藤恒治氏が豊田章男氏の路線に修正がかけられるかに注目です。

 次に着目したいのが、新社長の年齢か53歳と若いこと。報道によればトヨタ自動車の取締役の年齢は60歳以上だそうです。53歳で社長に就任した豊田氏も14年経てば、当然の如く年齢は67歳となっているのです。60代の発想と50代の発想は相当程度違うのではないでしょうか。一般論でいえば豊田氏は佐藤氏よりも経験が豊富な人財をトップ・社長に就任させることもできたはずです。ちなみにトヨタは重複4人を含めて取締役は9名、執行役員は11名の陣容となっています。経営管理と執行とを完全に分離した組織体制となっています。

 若い人財に後を託すという決断は大胆です。佐藤氏は高級ブランドのLEXUSのトップでもあります。VUCAと指摘させるほど、現在は「先が読めず」「混沌し」「大きく変動し」「複雑多岐な事情が交錯し」ています。誰がやっても同じ経営環境に向き合わないといけないのであれば、可能性が高い若手に新リーダーを任すというのは当然でしょう。

 佐藤氏は執行役員社長という役職になるそうです。トヨタの決算期は3月31日。株主総会は5月31日まで開催されますので、その間は取締役ではなくまた代表権のない社長となるのでしょう。株主総会で代表取締役に選任されるのでしようが、それを待たずして社長就任とは経営環境の激変に早く対応しようというる豊田氏の思い入れがありそうです。

 今回のトヨタ自動車の社長交代の発表を受けて、私は上記の様な印象を受けました。この発表を読者の皆さん方はどのように感じましたか? 皆さん方の意見を聴きたいものです。