今日(2022年12月15日)の日本経済新聞に面白い記事が掲載されていました。【ゼロゼロ融資、残ったツケ】の連載記事です。更に【規律まひ「ゾンビ企業」生む】【国際基準で16万社、国内の11%】と続きます。この標題・見出しを見て、「何だろう」と思って読んでみました。
記事の要約はこうです。少し長くなりますがお付き合いください。①金融監督庁が金融機関宛にある文書を通達した。②文書には「『3つの防衛線』が有効に機能することが重要」と書いてあった。③その背景には実質無金利融資が行えるようにと、金融機関の現場で担当者が決算書の改ざん行為等を行っていることにある。④その結果、市場から退出すべき企業が生き永らえている。いわゆるゾンビ企業である。
⑤ある民間調査会社の調査では日本には16.5万社のゾンビ企業があるとする。企業総数の11.3%にのぼる。⑥国際基準でのゾンビ企業の定義は「3年以上にわたってインタレスト・カバレッジ・レシオが1未満、かつ設立10年以上」となっている。⑦日本では債務超過でなければ該当せずという緩い基準がまかり通っている。⑧必要でない資金(企業)までゼロゼロ融資したためにゾンビ企業が命脈を保ってきた。⑨最近では計画的と疑う倒産も起きている。
人が健康に過ごせるためには、仕事・学業などで充実しかつ有意義な時空を過ごし、また睡眠や食事等の生理的リズムが滞りなく循環することが重要です。これによって人は正常な新陳代謝が行われて、毎日を健康に過ごすことができます。同様に企業においても、事業に必要な経営資源が適切に調達され、かつ適正に運用されていることが重要となります。これの循環作用は一企業の新陳代謝と言えそうです。
先にインタレスト・カバレッジ・レシオが1未満の企業はゾンビ企業に該当すると書きました。この指標はどういうことでしょう。インタレスト・カバレッジ・レシオは、分母が支払利息・割引料で分子が営業利益と受取利息、受取配当金の合計額となります。簡単にいうと営業利益で(金融債務に係る)支払利息の支払いができるのか、という物差しなのです。
私はゾンビ企業が多数存在する経済社会は正常ではないと考えています。金融機関が不正常な形でゾンビ企業に融資をすれば、本来はスタートアップ企業へ提供すべき資金が行き渡らなくなります。新規に企業が起こり、窮境に陥った企業は市場から退出していく。このような経済社会全体の新陳代謝が起こらない限り、日本経済の復活は更に遠ざかるだろうと心配しています。