数学と聞くと「嫌だ」「取っ付きにくい」「頭が混乱する」などと否定的な感情を持つことが多いのではないでしょうか。ところが、案外と日常生活に数学(の知識)が応用されているのに気が付くのです。
8月19日付日経MJに[八角形の外箱で使用1割減]の見出しで面白い記事が掲載されていました。話はこうです。象印マホービンが新発売するボトルを収納する箱の形を、四角形・直方体形から八角形に形状を変更するというのです。この形状変更で箱の総面積が減り、紙の使用量が1割程度減らすことができるらしいのです。
この記事を読んだとき「これは数学の応用だ」と気付きました。箱は製品を入れるものであり、色や形、、ロゴ、素材などで見る人(生活者)の印象は大きく変わります。ブランディンクの手法としても包装は重要な位置をしめます。箱(外装)は「もの言わぬ販売員」なのです。また運搬・移動中の破損等を避ける為にも、適度な強度がなければなりません。また店頭で陳列する際の陳列のし易さも考慮しなければなりません。
これらの要素をしっかりと見極めたうえで、象印マホービンは包装箱を八角形に変えたのでしょう。そして紙の使用量が減ることで環境に優しいということを生活者へ訴求できます。企業のESG対応が注目されています。環境・社会・企業統治の英語頭文字をとってのESG。本当にやる気があるのかと疑わしいエセESGが跋扈している中、今回の事案は真のESG対応ではないかと思いました。
追加で数学が日常生活に使われている例を1つ挙げてみます。私もネットで商品を買うとき、クレジットカードで買います。そのときに16桁のクレジット番号を入力しますが、あの操作は本人確認用ではなく、16桁の入力が間違っていないかを確認する為のものなのです。
16桁のうち左から順に奇数番目の数字を選び、これを2倍します。2倍した数字が二桁となると10の桁と1の桁を足します。2倍しても1桁の時はそのままです。こうして得られた8つの数字を合計します。これがA。次に偶数番目の数字を合計します。但し16番目の数字は加算対象としません。これにより得た数字がB。
これからが本番です。AとB、そして16番目の数字を足し算します。得られた値をCとします。このCは何と10の倍数となっているのです。ネットでカード番号を入力するとアルゴリズムが自動的に計算し、「計算結果が10の倍数になっているので、入力した数字に間違いがない」と判断するのです。
このように、私達が知らない世界で数学が応用されているのですね。会社に理系、それも数学に使い人財がいると、ビジネスが順調に発展するかも知れません。数学的知識と素養はビジネスの世界でも無形財産として認識される時代となってきたのです。