26日に投稿したJR線の赤字路線に係る話題を今日も語りたいと思います。日本経済新聞は7月29日付でJR東日本が初めて区間別の赤字額を公表したと報道しました。そして、[廃線回避3つの策]という標題で、沿線自治体が大きく関与しないと地方の赤字路線の維持は困難として、3つの対策案を提示しました。
それは「資産分離」「交通税」「バス融合」の3策です。先ずは「資産分離」。鉄道会社は鉄路を敷き、駅舎を設け、線路を走らせる車両を準備しなければなりません。これらは資産と呼ばれます。資産を使って、運転者や車掌、駅舎内職員らが鉄道事業を営むわけです。[資産分離]は資産を沿線自治体等が保有し、鉄道会社はこれら資産を使って鉄道事業を営むというスキームです。鉄道会社は運営ノウハウを持っていますし、資産の保有と管理にコスト等を費やす必要なくなる分、鉄道会社の負担が軽くなります。滋賀県の近江鉄道が2024年(令和6年)からこのスキームを使って再生を計るようです。
次に[交通税]。このスキームでも滋賀県が先鞭を取っています。滋賀県は全国初の「地域公共交通を支える税制」の検討を本格化させるとのこと。利用者負担(運賃収入)だけでは地方での鉄道事業の維持は困難との判断から、地域全体で公共交通を守ろうというのです。なお、地域公共交通は鉄道以外に、バスや離島を結ぶフェリー等などもあり、市民・住民の合意形成には相当な時間がかかりそうです。利用しない市民らの反発も予想されます。
3策の最後は[バス融合]です。この事例は大分県にもあります。大分県日田市と福岡県北九州市とを結ぶ日田彦山線は、2017年(平成29年)7月の九州北部豪雨により一部区間で災害に遭いました。被害区間の復旧のあり方について、JR九州と大分・福岡両県の3者協議で、鉄道ではなくBRT(バス高速輸送システム)での運営に落ち着いたようです。
このように地方の鉄道路線では、近年多発する災害の復興形態を、鉄道として完全復活させるのではなく、BRT(バス高速輸送システム)として地域の足を守るというバターンが多くなってきました。鉄道よりもBRTの方が投資額が少なく、またランニングコストも安上がりなのでしよう。それほど、鉄道利用客の減少が鉄道事業者の経営に与えるダメージが深刻化してきているのです。
26日でも言及しましたが、大分県内では赤字の鉄道路線や区間が多々あります。どのような方策が「利益多くしてマイナス少なし」となるのか、関係者の知恵だしに注目したいところです。