大分県には複数のJR線があります。日豊本線、久大線、豊肥線の3路線です。この3路線はJR九州が管理運営して事業活動をしています。大分駅では駅舎の再開発が成功して、物販や飲食、サービス部門の売上が伸びてきています。JR九州は商業ビル経営や不動産開発、小売業なども営む多角化企業であり、また証券取引所に上場している民間企業でもあります。
大分県内の3路線のうち、日豊本線を除く2路線は赤字だという報道がよくなされます。日豊本線でも大分から鶴崎、佐伯、宮崎県延岡へと続く下り線は赤字だといいます。民間企業でかつ上場企業であることから、経常的に赤字を垂れ流すことは許されません。黒字経営を続けることで交通インフラを守るという使命を果たすことができます。
JR西日本も今年になって路線別の収支を公表しました。JR東日本は今年中には同じように収支状況を公開するという動きになっています。民間企業であっても公共インフラの中核である鉄道事業を営んでいるので、「多少の赤字路線の維持はやむを得ない」という見方もあります。しかしながら、私はその主張に同調することはできません。路線住民の足を維持するという命題は正しい。しかしそれを一企業である鉄道会社に一方的に押付けるというのは、公平ではなく道理に合わないと思うのです。
旧国鉄は赤字経営を続けて経営的に破綻をし、最終的に各島別と貨物のJRに分割されました。四国と北海道のように、現在でも業績が極めて厳しいJRもあります。しかし本州3社と九州を含めた4社が上場するなど、国鉄分割民営化が一定の成果を占めていることは確かです。ナショナルフラッグであった日本航空も、政治的な圧力もあってか赤字空路を維持してきたために経営破綻しました。経営破綻後は、赤字空路の廃止と人員整理等の負の対策が一挙に進められました。急激な変化は激震が走り、地域にも大きな影響を与えるのです。
ローカル鉄道のあり方を議論する国交省の有識者会議が25日、赤字路線の存続についての提言をしました。1km当りの一日の平均利用者が平時に1000人を下回る路線について、国と沿線自治体、鉄道事業者が改善策を協議する仕組みを設けることを提案しています。慢性的な赤字ローカル線は、路線の維持や廃止の決定、または廃止のときはバス転換(BRT)などの代替手段の検討など、抜本的な検討が重ねられていくかもしれません。
私が生まれ育った竹田市は豊肥線が通っています。昭和40年代までは豊後竹田駅を中心とした駅前は乗降客でにぎわっていました。いまの主要の交通手段は自家用車です。バス路線も縮小の一途です。これに加えて豊肥線廃止となれば、地域住民の生活圏は一挙に縮小することは間違いありません。しかし、JR九州は一民間事業者であることも事実です。国や大分県などの沿線自治体、そしてJR九州の面々が納得性の高い結論を出してくれることを期待しています。