昨日、全国的に梅雨明けが宣言されました。大分県を含む北部九州の梅雨明けはまだですが、宮崎や鹿児島の南九州は平年より2週間早く梅雨明けしたそうです。北部九州の梅雨明けも近日中に発表されることでしょう。関東などでは3週間も早かったようです。じめじめする湿気の多い梅雨が明けることは喜ばしいことですが、夏本番で水不足にならないかと心配です。
梅雨明け宣言が出たと同時に、東京電力の管内では電力不足が懸念され、電力需給ひっ迫注意報が発令されました。他地域の電力会社からの調達を加味してもなお、余剰電力が切迫し最悪の場合は停電に陥るという注意喚起です。私は昭和30年(1955年)生まれです。昭和40年初頭までは電力の安定供給がままならず、夜間に停電が発生することがありました。停電があると「外の様子はどうだ」と他家に明かりが点いているかを確認したものです。
その事案が現代社会でも復活しようとしているのです。それも梅雨明け前後の40度をこす猛暑に晒されているさなかにです。「何か変だ」と思いませんか。確かに暑くなると電力需要が増加します。しかし供給能力が十分に余力あれば需給切迫という事態に陥らないはず...。
官民挙げての電力供給の体制をしっかりと考え直さなければなりません。一時は原子力が注目されましたが、平成23年3月の大事故により、原子力発電の位置づけが不鮮明となりました。何事も短期的視点と長期的視点の複眼思考で判断しなければなりません。短期的視点では地球温暖化に貢献すると推察される原子力を稼働させることも一考すべきでしょう。その一方で、長期的には廃棄費用を含めると決して安価ではない原子力をゼロにする政策を進めるべきではないでしようか。
太陽光などの自然エネルギーの活用も必要でしょう。但し、太陽光の稼働率は1/3程度で、また発電と消費の時間帯にズレがあるために安定供給に不安があります。よって大規模な蓄電設備の整備が重要課題となります。
風力や潮力発電も注目です。しかし急峻な地形が多い日本ではこの二つの手法による発電コストは高いようです。火山国である日本は豊富な地熱があります。しかしこれも国立公園等の法律により、景観を損ねるとして容易には開発できないようです。
最後は水力発電。これに期待したいです。ダムを造るには多額の費用と年月が必要です。しかし、一度建設すると100年をこして活用できるほど堅固な代物となります。しかしこれも問題があります。発電用のダム以外に発電をしてはいけないというのです。ダムには水害防止・治水用、工業用や農業用等の用水供給用、生活用水の供給用など用途別に分類されているようです。そして発電用ダム以外には発電はしてはいけない!という縛りがあるそうです。
さらに、ダムの貯水能力を100とすると実際の貯水量の上限は3/2程度らしいのです。多量の貯水をするとダム壁にかかる圧力が指数関数的に上がり、ダムの安全性に疑問符がつくからです。これには少し納得です。
以上の実情を踏まえて、私は提案したいのです。日本国中にあるどんな種類のダムも発電を可能としましょう。そして、貯水量の上限をちょっと上げようではないですか。現在の総発電量の中で占める水力発電は7.8%だそうです。国は2030年な9%まで引上げようとしています。これを10%以上にできる方法があるのです。それは私が提案した「多用途ダムを発電用に」と「貯水量の上限引上げ」の二つです。行政や国会はこのことを真剣に考えて欲しいものです。