私の主たる情報源は新聞です。ネット等のスピードには劣りますが、じっくりと読み込むことで理解の程度が深まります。今日の大分合同新聞朝刊に[国産ワクチン大詰め][塩野義 厚労省に承認申請へ][創薬国、試行錯誤の開発]と見出しが目に留まります。
大手製薬会社塩野義製薬が新型コロナのワクチン開発をしていたことは既にご承知のことと思います。昨年3月くらいからTV等で報道され、“国産ワクチン開発”に大きな期待を持たれていました。あれから!1年半年も経過してようやく厚労省へ承認申請をするというのです。随分と月日が経ってしまいました。しかもコロナがこのまま沈静化してしまったら、膨大な資金と人員、そして日数を要して開発してきたワクチンが無駄?になってしまうかも知れません。
しかしそのような事態の発生リスクを抱えながらもなお、塩野義製薬の手代木功社長は開発を進めてきたのです。記事を読み進めると行政のワクチン開発に係る消極的な姿勢が垣間見れます。実は塩野義製薬はワクチン開発は初めてなのです!
日本は米国やスイスと共に創薬国ですが、ワクチン投薬の後遺症が社会問題化した後、長年ワクチン開発から遠ざかり技術開発も進まなかったのです。秋田発の新興企業UMKファーマが行った遺伝子組み換え技術によるインフルエンザワクチンの開発。厚労省に承認申請したところ、「臨床的意義に乏しい」として却下。これにより同社は経営不安になり、縁あって塩野義製薬が買収していたのです。
このUMKファーマがもつ技術が新型コロナのワクチン開発につながったと記事は指摘しています。新しいことに挑戦するのですから、失敗もあるでしよう。その失敗の負の影響を特定の個人が受けるとすれば、憤懣やる方ありません。しかしリスクから避け続けることのリスク!は後遺症として後まで引きずっていきます。2年前にコロナの大流行が始まったとき、日本人の多くは「いずれ国産ワクチンが供給されるに違いない」と期待したに違いありません。しかし、今日現在国産ワクチンはゼロ! その原因はリスクを避けたい厚労省と製薬会社にあったことは間違いありません。
過度なリスク回避志向は良くないと私は思います。ある程度のリスクは取らざるを得ません。そのリスクの認識と発生した時の負の影響を最大限低くする方策の検討、この両輪を上手く稼働させながら挑戦をし続けて欲しいものです。日本国、企業、個人などあらゆる主体へのお願いです。