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円は対ドルで140円台もあり得る

 円安に拍車がかかりそうです。毎日、円の対ドルと対ユーロの外国為替相場が報道されますが、対ドルでは円安が極端に進んでいます。一方で対ユーロでは1ユーロ130円前後で推移しています。ユーロはEU主要国の統一通貨です。ロシアのウクライナ侵攻に係る外的変動要因がEU経済に深刻な影響を与えることが予想され、対ドルで下落しているようです。対ドルではユーロも円と同様な動きを示しているのです。

 世界の基軸通貨は米国ドルです。米国は欧州とは地理的に遠く、また内政面では問題を抱えつつも堅調な内需に支えられて経済成長は底堅いようです。その為に供給不足が発生し物価上昇率が昨年から上げ足を速めていました。金融を取りしきるFRBは金融緩和政策を止めると共に、金利政策を変更して徐々に引き上げることを表明しています。金利を引き上げることにより需要の拡大にブレーキを掛けようという訳です。

 金利の高いところにお金が流れることは必定です。円を売りドルを買う流れが強まります。円を売ることは円安になるということです。円安も外国に製品を販売する会社にとっては円ペースでは沢山の資金が入り込むために収益拡大です。その一方で、外国製品を購入する会社にとっては、多くの円を支払うことが必要となりコストアップを引き起こします。そのコストは最終的に市民が負担することになります。

 私が小中高生だった昔は「日本は貿易立国である」と教えられました。現在は日本のGDP占める外需の貢献度は15%を割っています。隣国韓国は40%台半ばであることを考えれば、日本は内需を振興してこそ経済復興ができると思うのです。

 米国FRBの金融政策により、世界各国の通貨が対ドルで下落していますが、経済強者から経済弱者になり下がった日本も何の手を打たなければ、国富が国外へ流出し国力が減衰する一方です。政府や日銀は「今!だけを考える」のではなく「考えるのは未来の日本!である」という姿勢でもって、進む円安に必要な対応を取って欲しいものです。