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日立、2022年度中に週休2日制へ

 労働基準法では週40時間、一日8時間が法定労働時間と定められています。これを超過すると時間外割増賃金の支払いが使用者に求められます。これはある意味では、「労働の対償である賃金が労働の量によって計られている」ということです。近年は賃金の決定要因を労働量から労働の質へ転換しようという試みが大手企業を中心に取り組まれています。

 今日の日本経済新聞朝刊の一面に興味深い記事が載っていました。標題は[日立、週休3日で給与維持]で、日立が働き方の新しい試みを始めるというのです。一般的に週又は月間の労働時間が減れば、それに相当する賃金を減額するという方法が採られています。ノーワーク・ノーペイの原則から導き出される賃金減額です。「所定の労働量に達していないからその分は減額します」ということは、ある意味では客観的かつ合理性がある論理と言えそうです。

 しかし、短時間勤務をする労働者には賃金減額は少々痛い話でもあります。介護や看護、育児等の私的理由で止む無く週間又は月間の労働時間数を短縮でせざるを得ない場合は、支出増に加え収入減は家計にとってダブルパンチとなります。

 日立が今回採用する方法は、一日の労働時間を増やしてその分休みを増やそうというもの。休みも半日の休みではなく全日の休みにしようというものです。一日の労働時間数は多くなりますが、週又は月の総労働時間数は所期の時間数を確保できるため、賃金は減額しないという方法です。日立の所定労働時間は7時間45分だそうです。勤務4日の一日の労働時間を2時間弱延長して9時間45分弱にすれば、週の労働時間は38時間45分の所定労働時間は確保できます。日立は成果重視のジョブ型雇用を目指しているようで、成果ができるのであれば週3休みでも問題はないという考えに至ったようです。

 労働基準法との絡みがありますので、1か月単位又は1年単位の変形労働時間制を活用するのかもしれません。1年単位変形労働時間制は対象期間は1月超1年以内ですから、3か月を対象期間として運用することも考えられます。

 経済活動に与えるコロナの影響が軽微になりつつある中、会社は人手不足に陥っています。採用しようと働きかけるのですが、思うように採用ができていないのが現実です。週休2日制は当り前です。日立の挑戦を観ると、週休3日制が新しい働き方の1つとして採用される時期になったと言えるのかもしれません。