東京証券取引所が、4月4日からこれまでの1部上場や2部上場といった市場区分を再編成し、プライム、スタンダード、グロースの3市場に再編成しました。昨日のTVニュースや今朝の新聞に初日取引の様子が報道されていました。
私はこの再編成に関し、「日本的な考え方だな~」と思うことが多々ありました。本稿に記載する内容は私見であり、事実に相違している箇所があるかもわかりません。その時は申し訳ありません。賢明な読者が自ら、事実等を調べてみて下さい。
東証が何故市場再編成を計ったのか。それは国際経済における日本経済の存在感希薄化と同様に、世界での証券取引市場における東京証券取引所の地位が急速に落ち込んでいることがあげられます。東証に上場している外国株式は極わずかとのこと。日本企業しか上場していない市場では、海外投資家の魅力度はかなり低いものでしょう。外国企業がニューヨーク取引所等に上場すると同時に東京証券取引所にも上場して欲しいという東証の願いが、今回の再編劇に込められているに違いありません。
次に3つの区分です。グロースは分かりやいです。ベンチャー等創業間もない企業や経営基盤が盤石でない企業を対象にしているようです。「先ずは成長を目指せ」との如く、市場名称はグロースとなっています。分かりにくいのがプライムです。英語のprimeとは「主要な、最も重要な、優良の、素晴らしい、極上の」という意味があるそうです。東証はプライム市場の上場基準を「株式の流動性」「ガバナンス(流動株式比率)」「経営成績・財政状態」の別で具体的に定めています。
ところが東証は、旧1部上場企業2185社のうち、前記の上場維持基準が満たせないもののプライム市場に上場できる余地を認めたのです。これが経過措置(移行措置)です。プライム市場上場企業は1841社のようですが、この経過措置適用は296社(16%)だと言います。344社(2185社-1841社)はスタンダード市場へ上場したようですが、プライム上場基準を満たしている会社も相当数あったようです。経営者の判断でプライム移行措置を利用するか、スタンダードにするかが分れたのです。
これが大問題だと思うのです。数移行措置を設けるべきではなかったのです。十年に一度の改革であれば、また世界市場での東証の格付けを上げたいのであれば、思い切った大改革をすべきだったと思うのです。移行措置に救われた会社(のトップ)は、一定期間中はプライム市場の上場維持基準を満たすことに腐心するに違いありません。維持できなければスタンダード市場へ格落ちという屈辱を味わうことになるからです。
経営者が本来行うべき、会社の成長戦略の策定と実行が疎かになる可能性が大です。またこんな措置を行った東証に外国企業が魅力を感じるとは思えません。海外投資家も同様です。4月の株式の売買取引高に注目したいです。外国投資家が売越しとなれば、今回の市場再編成の目論みは外れたと言えそうです。