令和3年12月時点での「家計の金融資産が2023兆円に」というニュースが今日の新聞に掲載されていました。内訳は現金・預金が前年比3.3%の1092兆円、株式などは同15.5%増の212兆円、投資信託は20.4%増の94兆円、保険・年金は1.0%増の540兆円、その他は85兆円でした。これを全体の構成比でみると、現金・預金が54.0%、株式などは10.5%、投資信託は4.6%、保険・年金は26.7%、その他は4.2%となっています。
令和3年1月現在で複数国籍を持つ人を含む日本人の人口は1億2384万2701人、世帯数は5785万4887世帯となっています。基準日が異なりますが、大雑把に分母を5785万世帯とし分子を2023兆円として試算すると、一世帯当りでは3497万円の金融資産を保有していることになります。「えっ!、我が家はそんなに金融資産はないぞ!!」と戸惑いの声が聴こえてきそうです。
数字は魔術です。一家庭平均3497万円の金融資産は”平均値”であることに注目しなけばなりません。金融資産が0円から1000万円までの世帯が相当割合あったとしても、それ以上に億や10億、100億単位で金融資産を保有するお金持ち世帯が沢山いると、先の計算式での分子をぐっと底上げをすることになるので、平均値が上方へ移動するのです。
ちなみに中央値という概念もあります。縦軸に世帯数を横軸に保有金融資産数を採ると、山形のグラフを描くことができます。しかしこの山形は富士山のように1合目から10合目(山頂)まで左右均等な形状にはなっていません。凸凹がある山形となるのが一般的です。中央値とは、この山形グラフで一番尖がったところを示しています。最も数の多いところ(金融資産額)なのです。
ネットで調べてみました。2019年の2人以上世帯の年代別のデータです。全体では平均値1139万円・中央値419万円、20代165万円・71万円、30代529万円・240万円、40代694万円・365万円、50代1194万円・600万円、60代1635代・650万円、70代以上1314万円・460万円となっています。
平均値に関しては、このネット情報1139万円と私の試算結果3497万円とはおおきな違いがあります。これは金融資産の捉え方やお1人世帯が入っていないなどの相違点からきているようです。ただし傾向値とは大いに参考になります。若い世代は金融資産が少なく、年を重ねるほど金融資産が多くなるという傾向です。また平均値と中央値とは大きな差異があるということです。平均値に惑わされてはいけません。
最後になりましたが、金融資産を膨らませるだけでは国富は拡大再生産できません。「使う!」ことが大切なのです。消費する、モノを買う、サービスを提供してもらう。これらは対価が必要です。対価はキャッシュです。1092兆円も現金・預金が積み上がっているのは、実に勿体ない!と言えませんか。その一部5%でも消費に回せば、GDP(約550兆円)は10%近く押し上げることができます。こんな簡単なお金の流れを政府、国会議員、経済界、労働界、学者、学校等々で丁寧に説明して欲しいと願うばかりです。