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知識はあっても実行時に失敗をしてしまった私

 「知っていることと、出来ることとは違う」とよく言われます。「それって知っている」と言われて、「ではやってみせて」とお願いすると「出来ません」とか「失敗しました」となる。知識が実務で活かされなければ無用な長物とはいいませんが、その知識は無価値に等しいとも言えそうです。以下に私の失敗談を綴ってみましょう。

 私は自宅の一角に小さな小さな畑を作っています。今は亡き父母から引き継いだ約350㎡の畑が郡部の実家にあります。毎年さつま芋等を栽培して収穫を楽しんでいます。一方の自宅の極小畑では夏野菜等を栽培し、我が家の食卓を賑わせてくれます。私の今年の目標として、この極小畑の四隅等に2m高の支柱をこしらえて囲いを作ることにしました。ということで、1月早々からコンクリートブロックを買ったりで毎週少しずつ準備をしてきました。

 コンクリートブロックは小さくて真ん中に穴が開いています。私はこのブロツクを畑に埋め込み、そして支柱をブロックの穴に差し込んでコンクリートを流し仕込み固めるという作戦を立てました。ブロックの穴は貫通しているので、一方の面を何かで覆って流し込んだコンクリートが流れ出ないようにと考えました。ここからが失敗談です。ブロックと薄板とをコンクリートで接着させようとしたのです。その時は「これが一番の方法だ」と思い込んでいました。コンクリートは何でもくっつけることができる!と思い込んでいたのです。

 暫くして「コンクリートが固まったから動かそうか」とブロックを移動させようとしました。結果は底板が外れたのです。「あれ!?」と私。「何で離れたんだ?」と一呼吸おいて考えました。「そうか。コンパネというのがある。これは施工業者が流し込んだコンクリートの成形・固形化のために、ベニヤ板等で型枠を作っているんだ」はっとガッテンしたのです。

 66歳も年を重ね、顧問先にも建設業者がいますし、臨時のコンサルタントでも建設会社の経営支援をしたことがあります。コンパネという言葉とそれがどういう物なのかは知っていたのです。知識は持っていました! ところが自分が当事者になった途端、その知識は完全に私の脳みそから離れて行き、前述のような大失敗をやらかしたのです。

 「『知っていることとできることとは違う』というのはこのようなことを言うんだ」と自分の行為に納得したのです。知識は実践、実行を共わないと本当の意味の知識とはならないのですね。「知識と知恵は違う」とも言います。知識はなくても過去の幾度の体験等を経て「こうすればいいんだ」という知恵が身に付くのです。今回の失敗体験を踏まえて、再び畑の支柱作りに意欲をたぎらせている私です。