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21日深夜の地震から思う期待値という考え方

 21日(金)深夜、大分県と宮崎県に最大で震度5強の地震がありました。午前1時過ぎだったので大半の人は就寝中だったでしょう。大きな揺れにびっくりしたと思います。私はベッドに横たわりながら、上下の振動がないこと、また揺れが大きくなく少し激しい揺れであったこと、家具から物が落ちたり飛び出したりしていないことから「大丈夫、じっとしておこう」と家族に告げました。皆さん方はどのような対応をされましたか? 大地震の際、慌てて動き回ると二次被害を被る可能性もあるでしょう。 

 全国ニュースで大きく報じられたことから、北海道に住む長男からも「大丈夫?」と電話がかかりました。自宅や事務所(仕事場)も大丈夫でしたが、事務所では整理棚に置いている”トトロ”の縫ぐるみが床に転がっていました。とまあ、このようにほとんど被害はなかったのですが、地震時に一瞬頭によぎったのが「とうとう、南海トラフ大地震が発生したか!」ということです。気象庁の発表ではそうではないようなので少々安堵しました。

 日本では全国各地、いつ何処で大地震に見舞われるかは分かりません。東南海大地震、南海トラフ大地震、中部沖大地震、首都直下大地震、東日本太平洋大地震、日本海大地震、十勝沖大地震等々、今現在で数十年の単位で極めて高い確率で発生するだろう大地震を列挙すれば、きりがありません。夫々の大地震で予想される人的被害数や経済的被害額も試算されています。

 今回の地震で私は不謹慎にも期待値という言葉が脳裏をかすめました。期待値は損害額(又は利益額)に対し、発生確率を乗じて算出されます。二つの事象を例に考えてみます。事象Aは発生する確率は80%で被害額は100億円とします。一方のB事象は同じく20%と500億円とします。事象Aの期待値は80億円(100億円×80%)で、事象Bは100億円(500億円✕20%)です。国も地方自治体も財政が切迫しており、どちらに乏しい財源を投入するかの判断に苦しむときは、期待値100億円である事象Bであることに疑いありません。

 二っの事象には夫々利害関係者が存在しているのは確実です。そして利害関係者の周囲には応援団が相当数存在するはずです。しかし、行政等のトップは優先順位を決めなければなりません。それがリーダーシップというものです。リーダーシップは「決断すること」なのです。行政は無駄なことを沢山やっているように思います。「その事業は本当に必要なのか」「その事業の目的は達成したので、もはや継続する意味がないのではないか」と思われる事業がゴロゴロあると思います。

 何故なら、いかなる組織にはパーキンソンの法則というものが働くからです。パーキンソンの法則とは、当初の存在価値、目的、意味がなくなっても、その組織は新たな存在価値等を自ら創り上げ、存在しつづけ、つか肥大化するというものです。

 今回の地震と期待値とを関連付けるのは少々不謹慎だったかもしれません。しかし、この期待値という考え方は企業経営でも応用が可能です。いや企業経営の場において適用されるべきルールだとも言えるのです。複数の課題を抱えていて優先順位等を決断しなければならないとき、この期待値という考え方を導入すると経営判断の誤り度は低くなることは確実であると指摘しておきたいと思います。