商品やサービスを買ったときの決済。現金派ですか又はキャッシュレス派ですか。このような質問をしたとき、本コラムの読者はどのような答えになるのでしょうか。私はキャッシュレスの方が多いように思います。決済回数でいくと現金とキャッシュレスは半々となるでしょうが、決済金額だと1対100位になるでしょうか。金額が大きくなると決済は必ずクレジットで支払うからです。現金決済は、自動販売機等の少額の支払いが大半で、最近は現金決済で1万円札を出した覚えがないな~って感じです。
何故、このような書出しになったかというと、先日ぼ~とTVを見ていたところ、大阪の造幣局にて新500円硬貨が鋳造されていたのです。既に令和3年11月から発行されているようです。持っている500円硬貨の発行年が令和3年となっていたら、それは新しいデザインの硬貨かもしれませんね。この新500円硬貨は偽造を防ぐために色々な工夫を凝らしているとのこと。私は偽造をしませんから(笑)、どのような工夫をしているのか全く興味がありません。といったら嘘になるかな(笑)
ここから今日のコラムの本題です。そのTVを見ながら、「銀行で硬貨を預金するとお金がとられんだって」と妻が私に言うのです。「今日、郵便局に行ったら、これまでは硬貨貯金は手数料を取られなかったのに、『これから一定量を超す硬貨を貯金する際には手数料を取る様になります』と言われた」と話しは続きます。そして、「お店もキャッシュレスになってきているので、硬貨を使うことはなくなりそう」と妻の会話は終わりました。
世の中は急速にキャッシュレス社会へ突入してきました。お札は使わないし、硬貨も必要ない。クレジットカード、電子マネー、バーコード・QR決済、デビットカード、プリペイドカード等々、現金以外の決算手段が雨後の筍の如く、登場してきました。非接触型決済も浸透してきました。もはや、送金やお年玉、投げ銭もネット上で済ませる時代になっているのです。
「このような時代に新硬貨を発行して、コストパフォーマンスはとれるのかな」と余計な心配をしてしまいました。発行と維持に係るコストと発行益(余剰金として国庫に納入される)との差がどの程度になるのか分かりませんが、流通量が確実に落ちるわけですから、発行益も長期的には減少していくに違いありません。
このキャッシュレス決済の影響は新紙幣の発行量にも影響してきます。一万円札の顔が福沢諭吉から渋沢栄一に代わるのは令和6年からだそうです。五千円は樋口一葉から津田梅子、千円は野口英世から北里柴三郎へ交替です。でもこれら3つの新紙幣が大量に流通する時代はこないのではないでしょうか。全てがスマホやバーチャル世界で済ませようと時代。日本はキャッシュレス決済比率が30%弱とまだ低く、他国と比較するとまだ現金志向が強いようです。一部の外国では偽造紙幣の流通量が多い為に、通貨・紙幣に対する国民の信頼度は低くと言います。日本人はお上が発行している紙幣や硬貨を信用しています。また造幣局や日本銀行も偽造がほぼ出来ない様な精密な工夫を行っています。
しかし、キャッシュレス決済の浸透・拡大という世界の大きな流れに日本が乗らないことはできません。キャッシュレス決済が事実上の標準、デファクトスタンダードとなっているのです。そのような時代になっても、新硬貨や新紙幣が一定の地位を占めることができるのでしょうか。今回の新しい通貨発行が最後の発行の機会となるような気がしてなりません。