先の総選挙で与党が衆議院で絶対多数を占めることが決まりました。野党を含め、選挙公約では各党が現金給付などのバラマキ政策を掲げて選挙戦を戦いました。与党の公明党は「18歳以下に現金10万円を支給」を主張していました。選挙公約ですから、11月中に決定されるだろう補正予算に是非とも入れ込みたいと熱が入っているようです。私はお金のバラマキには反対です。私が納めた税金は別の使い方をして欲しいと思っています。
定期購読している月刊誌に寄稿されていましたが、コンピューターの世界は今や量子計算機が研究開発の主体となりつつあります。従来のコンピューターは「0か1」という前提で計算をします。量子CPUでは「0でもあり1でもある」という前提で計算がされるようです。私にはさっぱり理解できません(笑)。
量子コンピューターは大別して2つの考え方があるそうで、日本はそのうち一つで各国に先行して研究が進んでいるようです。しかしこの研究の資金はほとんど民間企業が担っています。米国や中国では国家資金が投入されています。基礎研究は日本が先でも、実用化では各国の後塵を拝するという状況を量子コンピュータ―の開発でも繰り返されるのでしょうか。これは日本経済新聞でも過去に記事で読んだことがあります。
日本は長らく経済成長が停滞し30年間で4%の成長しか遂げていません。成長の為に「どの分野にお金をつぎ込むのか」が迷走しているからです。前述の量子コンピーター開発の投資はその一例です。「成長と分配」とをシーソーゲームとして考えてはいけません。“やじろべー”のように双方のバランス(均衡)を採ることが大事なのです。
そこで再び「18歳以下に一律10万円支給」をとりあげてみます。人口統計でざっ~とみたところ、18歳以下の人口は2千万人いるようです。一律10万円支給ですから、必要な財源は2兆円です。早期に支給したいとすれば、親の所得は無関係に支給することになります。昨年の定額給付金の支給で、資金使途が貯蓄というのが多かったことを思い出します。貯蓄であれば、十分な所得がある家庭に支給しても、その10万円は消費に回されないこと確実です。
経済学に投資の乗数効果というか考えがあります。投資100に対して、消費等を通じて需要がどの膨らむかという考え方です。乗数効果が1であれば、所得を単に移動しただけです。1未満であれば、消費増進効果はなかったということ。乗数効果が1を超えなければ、投資する意味が全くないのです。今回の「所得制限なく一律10万円支給」は乗数効果は1を下回るでしょう、定額給付金と同じ轍を踏んでいるとしか考えられません。「失敗から学ぶ」ことをしない日本の政府と与党(と野党)、情けない限りです。党益優先の考えに憤りを感じざるを得ません。
この愚案よりも、「教育は国家100年の大計」という考えに立てば、高校まで更には大学までの学費を無料にするなどの、教育や子育て支援の為に2兆円を使用すべきと考えるのです。既にフランスや北欧では教育は無償なのです。OECD加盟34か国中、17か国で大学までの授業料が無償となっています。また32か国で返済義務のない給付型奨学金が実施されています。
昨年の出生数は84万人でした。未来の日本人が増えないと日本国の総合力がますます低下していきます。その為には、子育てや教育に係る費用を軽減し、また可能な限り無償化していくことが必要でしょう、この政策は1人の日本人として考えるのではなく、全ての日本人が考える問題ではないかと思うのです。