昨日(9月13日)に将棋界からビックニュースが飛び込んできました。19歳1か月で藤井聡太二冠が、豊島将之叡王とのタイトル戦で3勝2敗の成績を収め、新叡王となりました。藤井王位は既に持っている王位と棋聖を含めて三冠となりました。豊島将之は竜王のタイトルを持っていますが、来月に藤井聡太三冠が挑戦者として竜王戦が戦われるようです。
将棋界で最も早く三冠を奪取したのは羽生善治九段で、その時の年齢は22歳3か月だったとのこと。藤井聡太三冠の10代での三冠奪取が極めて速く、今後はこのような棋士が登場することはないのではないかと思います。現在の将棋界は、序列上位から、渡辺明名人(棋王、王将、37歳)、豊島将之竜王(31歳)、藤井聡太王位・棋聖・叡王(19歳)、永瀬拓矢王座(29歳)の4強時代と言われているようです。豊島将之竜王と藤井聡太三冠とは、今回の叡王奪取で序列が変ったかも知れません。将棋界は8大タイトルがありますが、名人と竜王は別格とされている為に、現時点では豊島将之竜王の方が藤井聡太三冠よりまだ上位なのかも知れません。4名の内、30代2名、20代1名、そして10代1名となっています。今の藤井聡太三冠の戦いぶりからは、4冠から8冠奪取の日までは遠くない様な気がします。
藤井聡太三冠と同じく中学生棋士となり、日本将棋連盟の会長を勤めた谷川浩司九段の著作を読みました。タイトルは[藤井聡太論 将棋の未来]です。私は将棋のことは分らないのですが、谷川九段は藤井三冠を冷静に分析しています。棋士は10代から20代半ばまでに強くなり、20代後半から30代半ばで強さのピークを迎えると谷川九段は指摘します。しかし、この成長スピードを藤井三冠は遙かに超えています。その要因は俗にいう“ITの申し子”ではないと指摘しています。将棋ソフトは確かに利用しています。しかし、今の将棋界では50代の棋士でも将棋ソフトで戦法研究に勤しんでいます。「ITに強い」「将棋ソフトを上手く活用している」だけでは、通算勝率8割4分以上の戦績は残せません。
破竹の29連勝をした年の勝率が8割を超すというのは何んとなく理解できます。しかし、その後も毎年勝率8割を超しているのです。勝ち続ければ、より強い棋士との対局が組まれます。またタイトル戦の挑戦権を得る対局や今回の叡王戦の様に、タイトル戦そのものを戦うのです。このように強い棋士達の対局を何回も重ねた上での、通算8側4分超えです。これは凄い事です。
5勝1敗の時の勝率は8割3分。6勝1敗の時の勝率は8割6分弱。8側4分超えとは、6回から7回対局しても5回から6回は勝利する!ということ。その理由は何か。藤井聡太三冠は「対局を通じて自然と強くなれば良いと思う」と謙虚に自分の目標を語っています。「もっと強くなりたい。もっと将棋のことを勉強し理解したい」という気持ちが脅威の勝率に繋がっていると思います。
このことは会社経営にも通ずるところがあります。「もっと良い会社にしたい」「もっと社員やお客様を幸せにしたい」「社会の発展に大いに貢献したい」等々、ポジティブな目標を掲げて会社を経営する。このようなことを地道に繰り返していけば、近い将来大輪が花咲くことは確実と思います。経営者の皆さん、藤井聡太三冠に習って、真摯に経営をしていこうではありませんか。