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京都市のあるスーパーのESGの取組事例

 世の中では、ESGやSDGsが花盛りです。「環境・社会・企業統治」の三点に焦点を合わせたものがESGです。国連が決議した「17つの持続的な開発目標」がSDGSです。最後の”S”は小文字で目標が複数あることを意味しています。

 少し前の日本経済新聞に掲載されていたのですが、EUが域内で活動をしている企業のESG対応の調査を始めたらしいのです。企業がESG云々を標榜すれば、市場や投資家から好印象を持たれます。よって、「実際はやっていない、またやろうとしていない」のに、「当社はESGに熱心に取り組んでいます」とフェイク情報を流している企業があるというのです。このような便乗商法をEUは許さないということでしょう。さて日本での取組みはどうでしょうか。

 9月1日付けの日経MJに面白い記事がありました。見出しはこうです。[京都に「ゴミを出さない」スーパー。斗々屋、個包装せず量り売り]。京都市にあるオーガニック食材の輸入などを行う斗々屋が、「ゴミを出さない」ことを目標として掲げたスーパーを開店したという記事でした。これはESGを正に実践しているというでしょう。記事の内容を読むと次のような特徴があります。

 ①約700品目の食品や日用品を扱う。②個包装せず量り売りをする。③午後6時以降は飲食店に衣替えをし、その日売れ残った食材を料理して提供する。④お客様には容器を持参してもらう。⑤容器を持ってこなかったお客様には、100円から数百円で容器を貸し出す。⑥売残りが飲食店で提供し切れないときは総菜として加工する。⑦小麦粉はうどんに加工し、運搬には木箱を使用する。⑧包装が必要な遠方からの注文には、再生紙を利用した段ボールや分解されやすいバイオプラスチックを使う。

 このような取組み内容を見ていると、経営者がESGに真剣に取り組んでいることが理解できます。こうした取組みは働く従業員のモチベーションやモラールを上げていきます。そして、お客様は一見客から顧客、固定客、熱心客へとロイヤルティは高まっていきます。そして最終的には、「あのお店、いいわよ。あそこで買い物をしたら」とお客様が社外社員へと変貌していくに違いありません。