今年の最低賃金の引上げ額を全国平均で28円とすることが、中央最低賃金審議会の協議でほぼ決定しました。大分県の最低賃金は現在792円ですので、28円UPだと820円となることがほぼ確実です。但し、全国ベースでは792円と793円の2賃金が最下位争い(!)をしていますので、大分県は1円オンの29円の引上げとする可能性も残されています。
最低賃金は全世界では全ての国で採用されているのではありません。最低賃金制度がない国の方が多いようです。最低賃金は国民の最低限の生活を保障するという社会保障の観点から導入されています。賃金の最低保証を使用者に義務付けるというよりは、他の法制度を活用して最低限の生活保障を行うというスキームを取っている国もあります。
日本では最低賃金法が1959年(昭和34年)4月に公布され、毎年10月に都道府県別の最低賃金の改定が行われてきました。前安倍政権時代に毎年20円台の引上げがなされてきました。大分県も暫くは600円台後半の時代が続いたのですが、前安倍政権下で800円目前まで到達しました。昨年はコロナの影響を受けて僅か1円の引上げに留まっていたことから、「今年大幅な引き上げがあるに違いない」と推測していました。結果は「やはりそうか」という内容です。私はもう少し引き上げられるのではと思っていました。
最低賃金は強行規定なので、「社員がこの賃金で良いといった」という論理は通用しません。仮に最低賃金未満で働かせていた場合は、SNSで「あの会社はブラック企業だ」という非難が拡散される恐れがあります。経営者は「人件費が上がり大変だ。経営者は中小零細企業を国は潰すつもりか」と憤るのではなく、「人件費の上昇を契機に業務改善への取組みを行おう」と陽転思考で対応して欲しいものです。
「貧すれば鈍する」と言います。経営が上手く行かないのを、他責にすることで言い逃れをしようという行為は良い結果を生みません。ここでの他責とは最低賃金の引上げのことです。窮地に追い込まれた原因をしっかりと把握し、改善に向けての対策を考案し実施する。この業務カイゼンのサイクルが、最低賃金の引上げに苦慮することなく、しっかりとした収益を上げる会社へ変貌することができるのです。全ては経営者の考え方次第とも言えるのです。