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ネットフリックス、13%の価格引上げ

 企業活動においては、市場内で同業他社等と比較して競争優位な立場を獲得することが、とても重要な経営戦略となります。経済学や経営学ではこの範疇は競争戦略というカテゴリーになります。今日の日本経済新聞でこのことを実感する記事を目にしました。

 米国の企業で日本にも進出しているIT系企業のネットフリックスが価格引上げを計画したというのです。記事をざ~と見ただけなので、勘違いをしているのかも知れませんが...。ネットフリックスは映画等のコンテンツをサブスク契約をしている会員に提供するビジネスをしています。この月額料金を引き上げるというです。このサブスク市場は成長途上ではありますが、当社が先頭を切って市場開拓してきた分野です。競争相手にはアマゾンやディズニーらがいます。

 日本は1990年初頭にバブルが崩壊した後、デフレ基調が続いていますので、ネットフリックスは日本市場の料金を他国よりも低く抑えてきたようです。ところが、今回は米国の料金引上げ率をかなり上回る料金引上げを実施するらしいのです。そして、料金を全世界で統一していくと言うのです。各国の所得や購買力が異なるので、国別に料金が異なっても良さそうですが、それを当社は取らずに全世界統一の方針をとることにしました。

 ここに、私は市場で独占的又は寡占的な地位を占めた企業が最終的にとっていくだろう価格戦略の一面を見たように思います。各国の独占監視当局は、自由な企業間競争が最終的にはお客様(市場)の利益となるという前提で独占禁止法等の法令を施行・適用しています。しかし、カルテル等の不正な行為によるものやM&A等による自由競争を妨げるものは別として、会社の自助努力等で独占状態になった場合の監視は比較的緩やかであったように思います。

 しかし近年は、米国のGAFAや中国のBATの一角をしめるアリババへの行政当局の強い関心は、自由競争の結果、市場内で独占的な地位を占めるようになった場合でも、行政当局が消費者・生活者の利益を害する可能性が高いと判断する余地が膨らんできました。そのように考えるとサブスク・ビジネスの先頭を走っているネットフリックスも自社の利益優先で価格引上げを行う行為も、そろそろ独占禁止法令に抵触する恐れあり、という行政当局の警告がなされるのではないかと思うのです。

 私はサブスクで映画等をみる契約を締結していません。幾ら観ようが、幾ら視聴しようが、幾らゲームをしようが、月額は一定額で同じという価格設定は、自分の自由時間を奪っていくものだと心配しています。私の(職業)人生も終わりに近づいてきました。貴重な時間を映画鑑賞等で潰したくありません。この個人的観点からすると、当社の価格引き上げは全く問題外です(笑)。しかし、経営コンサルタントの立場からすると、市場内で優位的な立場になったからと言っても、消費者・生活者の利益を考えずに価格引上げを行うことは、中長期的には市場からの支持を失っていくのではないかと思うのです。