· 

みずほ銀行、仏の顔も3度のシステムダウン

 みずほ銀行はまたまた大失態をやらかしました。当行が大規模なシステム障害を起こしたのは今回で3回目です。大きく損ねた信頼を回復するには、相当な労力と資金、そして日数がかかりそうです。

 最初の大規模システム障害が発生したのは、2002年(平成14年)4月でした。旧大手行3行が合併して誕生したみずほ銀行ですが、決済等の基幹システムは旧行のものをそれぞれ使っていました。いつかは統合する必要があり、それが2002年4月だったのです。その結果は、数日間システムダウンして銀行間取引や法人・個人の入出金等が出来なくなるという大失敗をやらかしたのです。

 次のシステムダウンは2011年(平成23年)3月でした。前回と比べてシステムダウンした日時は短縮したかと思いますが、前回同様に日常の金融取引ができなくなるという事態を招き、お客様に多大な迷惑をかけたのです。確か金融庁だったか、所轄官公庁が業務改善命令を出したように記憶しています。そして今回のシステムダウンです。2度あったことが3度あったのです。

 このように時系列に発生した年月を整理すると、夫々のシステムダウンの間に約10年というタイムがあることに気づきました。「人のうわさも75日」というように、日本人はつらいことに遭遇しても、一定期間過ぎれば「忘れる」という性質を持っています。古事記の時代まで遡ると、八百万の神が日本の統治について語り合っていました。その八百万の神々の中に「忘れることを生業とする神様」がいらっしゃるそうです。

 四季折々がはっきりし、毎年のように台風や梅雨末期の大水害に見舞われ、そして時には大地震にも襲われる日本列島。その経験値の中から、「つらい事態に一定期間堪え切れれば、また新たな境地に達することができる」という性質を日本人が身に付けたことは、地政学的にやむを得なかったことでしょう。

 しかし、今回のみずほ銀行の事件はそうも言っておられません。通帳やキャッシュカードがATMに吸い込まれたまま、取り出せなかったからです。通帳やカードが取り出せなかったら、当人はその場から立ち去ることはできません。イライラが募り、腹立たしくなったことでしょう。

 失敗から学ぶ。言い古された言葉ではありますが、みずほ銀行のトップらはこの言葉を忘れたのでしょうか。この大失敗から、経営トップは何を学ぶべきなのでしょうか。メガバンクの競争はグローバルです。日本の他行、三菱UFJや三井住友も、他山の石と考えて同様の失敗をしないように、社内を引き締めて欲しいものです。