令和2年度の出生数は87万人だったそうです。私が生まれたのは昭和30年(1955年)です。その時の出生数は173万人でした。1970年以降数年間は200万人を前後した出生数でした。昭和20年前半のベビーブーム時に誕生した人達が結婚し親となったので、200万人を超す出生数となったのです。その後は徐々に落込み、100万人を少し上回る時期が続きました。
それが今、数年前に100万人を割ったあと、一挙に87万人となってしまいました。人口ボーナスという経済用語があります。経済発展の前提の1つとして、人口の増加が挙げられます。人が増えれば、当然の如く衣食住の消費財の需要が増えます。よって人口増は経済発展に大きく貢献するのです。
また人口ボーナスはただ単に人口が増えることだけではありません。生産人口(15歳以上65歳未満)が増えることが重要です。経済発展は需要と供給のバランスが大切です。前述で需要増に言及しましたが、需要を賄う消費財等の財の供給がないと、継続的かつ安定した経済発展はおぼつきません。生産活動に従事する人数が少ないと、不足する財は外国からの輸入に依存せざるをえません。その結果、物価上昇や外貨不足等国内経済に不安定さを拡大させます。生産人口、特に若い世代が増加すれば、財の生産に余力が出ますので、需給バランスは均衡し安定的に経済の拡大が達成できます。
人口ボーナスの反対が人口オーナスです。人口が減っていくこと。そして生産人口の割合が低下すること。また若年層の割合が減少していくこと。これらの人口動静が経済活動に与える影響を人口オーナスというのです。人口オーナスは国内経済に不安定さをもたらし、国内市場の縮小を予見させます。一旦国内市場の縮小が始まると、坂を下るように加速度がついて経済活動は停滞への足取りを早めます。
出生数87万人が続くと、日本国内のGDPは停滞どころか縮小へと進んでいくことになります。いま、手を打たないとやがて日本は経済大国第3位の地位から、二桁のランクへと落ちていくかも知れません。私はそのような日本国の未来像を見たくありません。
それではどうするか。経済規模は(資本の額✖生産等に従事している人数)✖全要素生産性の3つの軸の掛け算で表わすことが出来ます。「生産活動に従事している人数」が確実に減っていくのですから、「資本等の額」を増加させるか、「全要素生産性」をアップさせるしかありません。前者は積極的な設備投資を想起させます。お金を貯めるだけではなく、貯めたお金をドンドン投資に回しましょう。
後者は技術開発の成果を活用することです。技術開発の代表的なものはIoTでしょう。またDXでしょう。情報化でしょう。今のビジネスモデルは不変ではありません。今のビジネスモデルを積極的に変化させ、転換させましょう。IT技術等を積極的活かし、無駄とりを行いましょう。業務改善を行いましょう。そうしないと、私たちが住む日本国はやがて消滅してしまうかも知れないのです。