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社長の平均年齢初の60歳代へ

 今日(2/9)の日本経済新聞に小さな記事が掲載されていました。見出しは「日本の社長平均年齢、初の60歳超」とありました。ベタ記事ではありますが、この見出しに私の目が止まりました。社長の年齢と会社の活力はある意味で共通項があります。例えば、若い社長だとやる気満々でバリバリ働くでしょうから会社も成長の波にグングン乗っています。一方、60歳以降のリタイアー時期を考えている経験豊かな社長は、業績の現状維持が精一杯で、体調を気遣いながらの会社経営となっているに違いありません。

 ベタ記事の内容は次のとおりです。「日本の社長の平均年齢の上昇が続いている。帝国データバンクが全国94万社を対象に社長の年齢を調べたところ、平均年齢は60.1歳(2021年1月時点)となり、前年比で0.2歳上昇した。調査を開始した1990年以降、初めて60歳を上回った」。最後の「初めて60歳を上回った」というところに注目です。

 平均年齢の計算式は多分次のとおりでしょう。分母が総企業数、分子が全社長の年齢合計を所与の数値として計算したのです。総企業数は開業者(社)数よりも廃業者(社)数が多いことから、毎年減少していくことは確実です。社長の年齢は毎年1つ歳を重ねていきます。廃業する高齢社長に替わる新社長の年齢が20歳代や30歳代と大きく若返らなければ、平均年齢の押上要因の抑制は困難と考えます。事業承継による新旧交代劇もあるでしょう。しかし60歳前後での経営者交替の例は少なく、70歳前後での交替となる可能性の方が高いでしょう。よって跡を継ぐ新社長が50歳前後と、全くの新規参入者である経営者の年齢よりも少なからず高くなることは間違いないと考えられます。

 このように、事業承継による経営者交替があったとしても、日本の社長の平均年齢が再び50歳代に戻るというのは困難であると推察されます。私はこの社長平均年齢60歳代!というのが、日本の将来を示唆しているようで不安なのです。

 前述のように、若い経営者であれば成長意欲が旺盛で、多少のリスクをとってでも「もっと会社を大きくしていこう」と考えるに違いありません。拠点数を増やし、従業員を増やし、設備投資もする。これらの企業活動は「銀行から融資を受ける」「取引先との取引量が増える」「給料が増えて所得税等の納税が増える」などの波及効果も期待できます。日本では新規開業率が低迷しています。その為に、新規開業者や成長を続けている企業から恩恵受ける乗数効果が十分に発揮できない状態に陥っています。

 今朝の日本経済新聞の「日本の社長平均年齢、初の60歳超」という記事に目が止まった人が何人いるでしょうか。少なくとも中小企業支援を行う行政や金融機関、商工会議所などの経営支援機関にお勤めの人には「大変な事になっている」と関心を寄せて欲しいものです。