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「給与のデジタル払い」がもうすぐやって来る!

 「給与を銀行口座への振込ではなく、自分のスマホへデジタルで受け取る」という時代が間もなくやってきそうです。厚生労働省は1月28日の審議会において、給与デジタル払いを仲介する資金移動業者の資格要件等を定めることを表明しました。PayPayやLINEペイなどの資金移動業者が仮に経営破綻すると、スマホに振り込まれている給料が引き出せなくなったりします。そのようなリスクを保証するために、損害保険を掛けるなどの保証体制の整備を資金移動業者に求めているようです。

 私はどちらかというとアナログ派で、ネットやデジタルを余り信じていません。しかし利便性はとても高いのは分ります。銀行口座へ給料が振り込まれて、そして自分のスマホへ資金移動する。QRコードで決済する。このように銀行を仲介するという今のやり方では、銀行によってはスマホへ資金移動することでかできないという弊害もあるようです。銀行口座を経ないで直接スマホへ給料が振り込まれれば、何の障壁もなく買い物やサービスを受けられるのです。今以上に利用者にとっての利便性は格段に向上することは間違いありません。

 ところで労働基準法では給料(賃金)の支払い方法については厳密にルールが定められています。①全額払い、②通貨払い、③毎月1回以上払い、④一定期日払い、そして⑤直接払いの5原則が労働基準法で定められています。⑤についてですが、賃金支払いの原則では銀行振込はしてはならず、本人に直接手渡しすることをしなければなりません。しかし、帰宅途中に賃金袋を落としたりするリスクがあり、本人からの申し出により銀行振込にしているのがほとんどです。原則と特例が逆転しているのです。

 「給与をデジタル払いにする」というル―ルは労働基準法の原則から、さらに大きく外れることになります。支払う企業も最新の注意を払うことが求められます。銀行振込であれば、途中で何度かのミスをカバーする仕組みがあるでしょうが、スマホへ直接送金するには新たにシステムを組み直さないといけないでしょう。また誤って第三者に送金した時はどうなるのでしょうか。ネット社会では悪事を働くずる賢い輩が沢山存在します。そのようなリスクをどのように対応するのでしょうか。

 アナログ信奉者である私には理解できません。しかし世の中は、給与のデジタル払いへと進んでいることにはまちがいなさそうです。