大阪都構想がまたもや否決されました。大阪市民が出した総意であるため、2025年(令和7年)に大阪市を廃し4つの特別区を設ける大阪都構想を推進してきた大阪維新の会の指導者は「3度目はない」として、再び市民投票にかけることはもうしないでしょう。
私も11月1日(日)の投票日の夜、NHKや民法の開票速報を注目しながら観ていました。最初は賛成票が多くて「大阪都が成立するだろう」と推測をしました。11時前になると賛成と反対の票差が僅少となり、布団に入る頃に妻のスマホへ速報として「反対票が過半数を占める。大阪都構想否決」が流れてきました。
私の出身大学は大阪市の大学である大阪市立大学です。明治の初期の大人物である五代友厚が創立した大阪商業講習所が母校の前身です。大阪府の大学である大阪府立大学と統合されることが決まっています。令和4年(2022年)4月に大阪公立大学の名称で新大学が誕生する予定です。大阪市大の卒業生としては、当初は両大学の統合に反対していました。しかし統合効果等を勘案すると「統合はやむを得ない」という結論に到達しました。
さて話を元に戻すと、今回の市民投票の結果を診て、「日本国民の特性・特徴が表れている」と考えました。それは「急激な環境変化を望まないという国民性」です。明治維新や昭和20年(1945年)の敗戦等、外圧的かつ強圧的な変化は一種の諦めもあり、ある意味では従順にその大劇変化を受け入れる。しかし徐々に変化する環境変化については、当初はOKとするもそれが現実となると一転して反対の意思を表してきます。「建前と本音」の使い分けができる国民性。このような国民性が今回の市民投票でも表れていたように思います。
メディアの報道によれば、当初は賛成派の方が多かったようです。それが徐々に投票日が近付くと反対派の勢いが増し逆転してしまったのです。「大きな変化を望まない」という国民性のなせる業だったのです。この国民性は「停滞の20~30年」と言われる日本社会及び経済諸活動の低迷にも表れています。全体的に上昇気流に乗っているときは、いけいけドンドンで実力以上の成績を出す。しかし壁にぶち当たってしまうと、新たな方法を探し出すというよりは、横道はないかと探る程度の行動しかしない。本当は一旦退いて別の大道を探せばその壁を踏破することができるかも知れないのにです。一旦下がることもしないのです。小さいミスは許しても大きなミスを犯すリスクを極力避けてしまうのです。その結果、安直で最も簡単な横道探しをする程度で誤魔化してしまうです。
大阪市民は大きく生まれ変わる機会を逸失としたと私は思いました。日本国が停滞している現状の中で、大阪市を中心とする関西圏は停滞どころか後退の気配すらあります。「後退から停滞へ、そして停滞から発展へ」。「後退から停滞を飛び越して一挙に発展へ」という機会が大阪都構想ではなかったかと私は思います。ビッグチャンスを自らの意思で放棄した大阪市民に未来はくるのでしょうか???