CVSは今の日本ではなくてはならない存在となっています。大手三社は1.5万店~2万店の店舗数を抱えています。CVSは既に社会インフラとなっています。私も7-11の店舗で印鑑証明書を入手しました。しかも手数料が市役所で入手するよりも安いのです。「近くて便利」は日本人がCVSへ小売以外の多様なサービスを要求し続けてきた結果なのでしょう。
最低賃金の大幅な引上げが昨年まで続いてきたことにより、日本人店員が集まらなくなってきました。それで仕方なく外国人(留学生等)の労働力に頼っていたところ、今回のコロナ禍に見舞われてしまいました。
「近くて便利」をFC本部は24時間営業への要求と捉えていました。「募集を掛けても(最低賃金すれすれの時間給では)従業員が集まらない」という状況下では、不足する労働力は店主やその家族の労働力で賄うしかありません。従業員は労働基準法で休日等は十分に取れるものの、店主らは「休みなく24時間・365日働きづめ」というと状態へと追い込まれてしまいました。
店主は「健康を維持できるだけの最小限の休みをとりたい」のが本音でしょう。それが出来なければ深夜営業をなくしたいと思うのが人情です(24時間営業の中止)。しかしFC本部はあくまで24時間営業を主張します。それも契約書を盾にとってです。
24時間営業を外せない主要な理由の一つが、FC店から受け取るロイヤルティ料にあります。ロイヤルティ料は売上高や粗利益などの数値に対し一定率を掛けて算出します。24時間営業にすれば、深夜の売上高は大きく期待できないまでも、確実に非24時間営業よりは売上高(や粗利益等)は膨らみます。この仮説が正しいとすれば、FC本部の関心は、FC店店主らの健康ではなく本部に入ってくるロイヤルテイ料の金額の多少にあるのです。
9月4日付けの新聞各紙には「24時間強制は『独禁法違反』として公正取引委員会が改善要請」をFC本部に行ったと報じていました。公正取引委委員会が所管する法律に独占禁止法があります。独占禁止法は企業各社が正当な商行為を行うことで、社会経済の正常なる発展や消費者の利益になることを基本原則としてうたっています。市場経済では企業は他社との間で取引を行っています。この取引関係が、ある圧力により歪められたとすれば、相手側企業は不利益を被ります。そして最終的には消費者に被害(不利益)が転嫁されてしまいます。
公正取引委員会は独占禁止法上の「優越的地位の乱用」にあたるおそれがあると指摘しました。例えばA社とB社の間で、B社の取扱商品の過半がA社からの仕入れだったとします。A社が販売価格の引上げを目論み、「取引価格を一律X%引き上げる」とB社に通知したとすれば、余程のことがなければB社はA社の要求をのまざるを得ないでしょう。A社の要求を拒否すれば、B社は商品の調達を止められてしまう恐れがあるからです。
この様な「優越的地位の利用」はある意味では日常茶飯事に行われているのではないでしょうか。今回公正取引委員会が大手CVSに警告をしたのは、その知名度や「優越的地位の利用」が「乱用までに達している」と判断したからでしょう。今後の大手CVS本部の対応に注目です。