政府が今日(7月22日)から発効するGo-Toトラベルキャンペーンがパッシングを受けています。批判の立場をとる方の主張はこうです。「コロナの第二波と考えても良いほどの新規感染者が急増しているのに、何故この時期に実施するのか」。併せて、突然と国交省大臣が発表した、いわゆる東京はずし問題も反対論者からすれば絶好の口撃の材料を与えてしまいました。
その一方で賛成論者の主張は概ね次のとおりです。「経済が疲弊している今、今実施しなければ、旅館・飲食・旅行等々の業界が致命的なダメージを受けてしまう。その結果、経済活動がコロナ前に戻るのに数年単位の日数がかかる」。また「新型コロナウイルスをある程度抑え込むことができるようになった。医療体制も整い、重症化するリスクは少なくなった」という主張も耳にします。
Go-Toトラベルキャンペーンの是非を本稿では問いません。しかし政府の発表の仕方、説明不足を問題点として取り上げてみたいのです。とるべき政策の優先順位が「経済再生」か又は「新型コロナウイルス対策」かの二者択一を求められると議論は平行線のままです。両者間には大きな谷があるからです。しかし、そうは言っても政府が説明義務を果たさないということがあってはいけません。
全ての事象・物事にはメリット(良い点)とデメリット(悪い点)とが必ず存在します。なお、Aにとってのメリットが、反対の立場のBにとってはデメリットになるとは一概には言えません。メリット、デメリットのいずれでもない中間的な位置にランク付けされる場合もあるのです。
政府には、Go-Toトラベルキャンペーンが宿泊業者等に与えるメリットやデメリットを明示し、また地域生活者に与えるメリットやデメリットも整理し説明を行うことが求められます。このメリット、デメリットの対照表はあらゆる分野に対応できます。例えば、小中高等の学校・教育機関、政府や自治体の財政、医療関係者、鉄道等の公共交通機関等々です。政府は手抜きをせずに、全ての対象者・社・機関に対して、メリット・デメリット対照表を作成して公表し、時間をかけて説明をしてもらいたいものです。
議論の手間を省いては、国民の大多数が納得するGo-Toトラベルキャンペーンにはなりません。その資料として、メリット・デメリット対照表が必要だと思います。その対照表に基づき、説明責任をキチンと果たすことが肝要です。ここまで私見を述べたことは、企業経営にも当てはまります。経営者が社員や取引先に説明するときは、その対象物に係るメリット・デメリット対照表を作成しておくと良いのです。頭の中のもやもやが対照表ですっきりと整理されていれば、説明する力もより強くなります。