· 

ユニクロのレジは完全自動化。お客様が自分で精算する

 小売業でもIT化の波がどんどんと押し寄せています。米国のアマゾンではアマゾン・ゴー(無人店舗&自動決済システム)により、店舗の無人化が既に実現されています。Amazon-goではスマホに登録した決済用口座により、買い物客は棚から商品を取り出した後、そのまま店外に出ると自動決済され、買い物明細がスマホへ送信されるという仕組みです。なお入店する際は、スマホを所定の機器にかざすと自動認識され、入店ができるという仕組みです。

 米国同様にIT先進国である中国でも店舗の無人化実験が劇的に進められています。日本と違って、「騙された方が悪い」とするお国柄ですから、店舗無人化で多少の混乱があっても取組み実験がとん挫することはありません。これが日本だったら、「サービスを提供するのなら完璧な形にしてからにしろ!」と大規模なパッシングが発生するところでしょう。「新しいことをするのだから、問題発生は当然のこと。挑戦して問題・課題が発生したら、その時点で修正すればよし」というアントレプレナーシップ(企業家精神)が時代を前に進めていきます。「たった一つの間違いも許さない」では危険を賭して大胆に挑戦するという精神は育ちません。

 さて、店舗の無人化の話の続きです。ファーストファッションのトップランナーの1つ、ユニクロの店舗に買い物に行きました。昨年までは、レジカウンターが5~7つほどあり、レジ担当者が精算するという仕組みでした。今はお客様本人が自分で決済するのです。精算コーナーは5か所ほど用意されています。しかし精算処理をする社員の姿はありません。不慣れな私のような、「さて、どのように決済するのだろうか?」と不安そうなお客様を見かけたら、清算方法を教えるサービス担当者がいるだけです。精算そのもののお手伝いはしません。

 ユニクロは全世界で戦っています。商品生産から商品供給までを効率化したとしても、最後の精算段階で人手をかけてしまったら、世界ではコストダウン競争の敗者となってしまいます。レジ精算の自動化は私達が知るユニクロのITC化、AI対応の1つの表れです。ユニクロに出来て他の小売業者ができないことはありません。新型コロナウイルス感染症で「新しいビジネスモデルの模索をしている」小売業者の店頭が、1年後には様変わりになっているかも知れません。小売業界にはいない企業もこのITC化の流れに乗り遅れないよう、自ら大胆に変革へ向かって動き始めたいものです。