今日(令和2年4月24日)の日本経済新聞に注目すべき記事がありました。タイトルは「雇用調整助成金 利用なお進まず」とありました。副題には「申請から支給1ヵ月に短縮でも・・・」と書かれています。新型コロナウイルスで止む無く休業に追い込まれている企業への支援策の1つに雇用調整助成金があります。この活用が進んでいないという内容です。
記事によれば2月中旬から4月17日までに全国各地の労働局(助成金センター・ハローワーク)に12万件以上の問合せがあったようです。雇用調整助成金は2段階の手続きがあります。最初は「このような計画で従業員を休業させます」という計画届を事前に提出します。その後に計画通りに休業を実施します。最後は助成金の支給を申請します。労働局に提出する書類は計画届と支給申請書の2種類です。しかし。この書類の作成に中々手間がかかるのです。
雇用調整助成金の財源は使用者(企業)が拠出している雇用保険料から賄われています。雇用保険料の拠出には労使折半分と使用者(企業)のみが負担する分の2種類があります。雇用調整助成金はこの使用者(企業)のみが拠出する保険料が原資となっています。それだからこそ、従業員を休業させて少しでも企業の資金負担を軽くする手立てとして、企業経営者は雇用調整助成金を活用して欲しいものです。
しかし計画届や支給申請の提出書類を作成するのは少々難しいのです。そして、財源の一部に国庫の資金が入っていることから、労働基準法(特に休業手当が平均賃金の60%以上でないという第26条)に明らかに違反していると支給申請どころか、計画届の提出すらできないことになります。社会保険労務士でも躊躇する面倒な申請書等作成と証明書類の添付作業です。
以上の実務上の流れから、日本経済新聞の記事からは、相談件数は12万件以上でありながら計画届は9152件(7.9%)、支給申請は985件(0.8%、10.4%)と低空飛行の状態です。計画届の提出に至らなかった企業経営者の恨み節が聞こえてきそうです。政府は108兆円、いや118兆円?だったかGDP2割の経済振興策の旗を振り上げましたが、その内情はお寒い限りです。その1つに「使えない雇用調整助成金が含まれる」ことはあってはならないと思うのは私だけでしょうか?