作家の村上龍が司会をしているテレビ東京の経済番組「カンブリア宮殿」に、東京都の千代田区立麹町中学校の工藤勇一校長が出演していました。最近では小中学校の校長に民間企業出身者が就く例もありますが、工藤校長は教員畑で校長になった方です。
麹町中学校の卒業生は東大を経て官僚や著名企業に入社し活躍している人が多いそうです。しかし工藤校長着任前の学校の運営は他の中学校と同様で、校則で生徒を指導する(縛る)ということをやっていました。
着任後に工藤校長は「学級担任制の廃止」「宿題の廃止」「中間・期末テストの廃止」などを打ち出し、区外に住む父兄や子供たちから「是非入学したい」という希望が殺到する中学校へ生まれ変わらせました。
例えば「中間・期末テストの廃止」です。これは全ての学科を集中してテストするため、生徒の負担が重たくなっていると考えました。そして、1ヵ月半の学習を経て記憶を確認するテストですから、忘れていることも多々あります。そこで、一定の期間(学習する単位)ごとに理解度を問うテスト(確認テスト)に切り替えました。こうすることで、全教科が2~3日に集中することがなくなり、生徒もしっかりと勉強し理解を深めることができるというのです。
更に驚くことがあります。理解度テストは1回だけではなく、敗者復活の2回あるというのです。仮に一回目のテストで40点を取ったとしても、出題範囲をもう一度自宅で復習し再テストを受けます。再テストの点数が70点だと、この70点が本人の評価となる仕組みです。
工藤校長がやり始めた麹町中学校改革は父兄や生徒の支持をうけ、また教師たちも自由闊達に自信を持って指導を始めています。TVの映像を観る限り、「何て素晴らしい学校なんだろう」と思いました。勿論、反対論者や抵抗もあるに違いありませんが・・・。
企業経営者は新しい取組みに常に挑戦をしてみて下さい。過去から現在に至るまで骨髄まで染みついた仕事のやり方を変革する試みをしてみて下さい。工藤校長の様に、必ず現場に変革の嵐が吹いて、その風に乗って会社は上昇していくに違いありません。